痴漢が狙わない服装・雰囲気

 いくつかの対策を、前出の佐伯さんがアドバイスする。

 痴漢は、被害時に抵抗しそうな自己主張が強そうな女性を避ける傾向にあるため、

「個性的な服装や目立つ服装は、狙われにくいですね。被害者がこれ以上の被害を避けるためにあえてゴスロリ(ゴシック・アンド・ロリータ)ファッションをしている人もいます。周囲の人が注目するため、痴漢も手を出せない」

 要は、おとなしそうな子だと思わせないこと。ビジネスウーマン風に装うのも手で、

「パンツスタイルがスカートよりは狙われにくい。ある女子大近くの路線では、入学時期の4月には短いスカートを着用する女性が多いそうですが、被害に遭うためか5月にはパンツやロングスカートの女性が増えるそうです。

 サングラスや帽子、マスクなどで表情を悟られないようにするのも有効です。表情が見えないため、痴漢も手を出しにくい。英字新聞などを持ち、知的な雰囲気を出すのも“弁が立ちそう”“反撃されるかも”と見られ効果がある」

 乗り降りに関しては、

「乗車車両を固定しない。乗車前にホームで整列するときは、女性の近くに並ぶことです。ドアの近くや車両の端は、逃げ場がないので避けましょう。寝入ったりスマホに夢中になるのも、無防備になりますから注意が必要です。

 酔った人からは離れ、周囲を見渡しましょう。痴漢は観察されるのを嫌がります。目を合わせるとトラブルになったりするので不審な男性は、のど元あたりから足元まで全身を見ましょう」

 それでも痴漢に遭ってしまうこともある。日ごろから痴漢に遭った際のイメージトレーニングが必要と佐伯さんは話す。

痴漢に、“やめてください”というと二者間のトラブルと思われるので、“助けてください、この人痴漢です”と周囲に言うこと。叫ぶのが難しければ防犯ブザーを鳴らしたり、スマホの画面に文字を入力し、周囲の人に見せ助けを求めます。

 スマホのカメラで位置関係などの証拠を残すことも大切。決して泣き寝入りはせず、必ず通報してください。次の被害者を出さないためにも」

 これから年末年始。痴漢被害で悔しい思いをしないためにも、警戒心を解かないことが大切だ。