詩人・菅原敏「詩の聞き方は自由、声と言葉を楽しんでもらえたら」

「もしも詩が水だったら、どんな器に注ぐことができるのかと考えています」

 とは詩人の菅原敏さん。昨年刊行した『かのひと 超訳世界恋愛詩集』が話題に。古今東西の恋愛詩を独自の解釈で訳したものだ。

詩人の菅原敏さん。盛況だった東京・神楽坂『la kagu』での展示では、詩に合わせたワインの販売も
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いにしえの詩人たちと眼差(まなざ)しを重ね、新たに紡いだ1冊です。眠っていた宝石のような言葉たちを起こしてもう1度未来に投げかけることができたらと。詩と対になった挿画は美術家の久保田沙耶さんによるもの。200年前の古い詩集のページに直接絵の具を落として描いています。いわば、過去と現在のコラボ作品ですね」

 大学時代、ジャズバンドで活動していた菅原さんは、音楽に詩の朗読をのせるアメリカの“ビート世代”の詩人に影響を受け、それから詩を書くように。今では執筆活動を軸に、自作の詩をラジオやウェブ、歌手のSuperflyへの歌詞提供など、さまざまな場所、方法で聞き手に届けている。

本も紙でできたひとつの器。詩を注げる器はたくさんあります。天気とともに詩を朗読する『詩人天気予報』をYouTubeで配信、そこから気象予報士の方とのイベントやラジオ番組化につながりメディアをめぐる冒険になりました」

 ヨーロッパでも詩の朗読ツアーを開催。言語の壁を越える難しさと同時に、楽しさもある、と菅原さん。

朗読は目で文字を追いながら聞いても、耳で響きを楽しんでもよい。詩になじみのない人も、声から楽しんでもらえたら。友人とお酒を飲みながら詩集を開く。そんな時間も新鮮かもしれないですね」