自宅でできる「上咽頭洗浄」

 その1つが少量の生理食塩水を使った「上咽頭洗浄」です。まず、座った状態で頭を60度以上後ろに倒すか、上向きに寝た状態で、生理食塩水をそれぞれの鼻にスポイトなどの容器を使って2cc程度入れます。鼻から入れた食塩水は口から出しても、そのまま飲み込んでもかまいません。

 生理食塩水は、水1000ccに食塩が9g入ったものをいいます。ミネラルウォーター500ccに、小さじ3分の2程度の食塩を加えて容器を作ったら、1回に使用する量が少ないため、冷蔵庫に保存しておくとよいでしょう。

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 生理食塩水は水道水と違って、鼻がしみることはありません。これを1日2回行います。EATには及びませんが、効果を実感できるはずです。そしてEATや上咽頭洗浄は花粉症対策としても有効です。花粉症が治るわけではありませんが、花粉症の症状は軽減します。

つらい不調が続いたら「慢性上咽頭炎」を疑ってみよう

 他にも、自分でできるものとして、鼻腔全体を洗う「鼻うがい」や、首の後ろを湯たんぽで温める、口テープをして寝る、舌を上あごにつけて鼻呼吸の習慣をつけるなど、さまざまな対処法があります。

「慢性上咽頭炎」と、EAT(上咽頭擦過療法)は、一般にはまだまだ耳慣れない言葉ですが、近年、その効果発現をもたらすメカニズムの解明につながるような医学的な発見が重なり、耳鼻科医や内科医を中心に注目が集まりつつあります。花粉症に限らず、原因不明のつらい不調が続いたら、この「慢性上咽頭炎」を疑ってみる価値はあるでしょう。


堀田修(ほった・おさむ)◎医師・医学博士 1957年愛知県生まれ。1983年防衛医科大学校卒業。日本病巣疾患研究会理事長。日本腎臓学会評議員。IgA腎症根治治療ネットワーク代表。2001年にIgA腎症の根治治療である扁摘パルス療法を米国医学雑誌『Am J Kidney Disease』に発表。日本のIgA腎症診療が激変するきっかけとなった。2011年9月に「木を見て森も見る医療」の拠点として仙台市内に医療法人モクシン堀田修クリニック-HOC-を開設。現在、堀田修クリニック(宮城)、大久保病院(東京)、成田記念病院(愛知)でIgA腎症専門外来を行う。