古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第49回は鮫肌文殊が担当します。

ラストアイドル2期生 暫定メンバー
山本琉愛 様               

 長い放送作家人生の中で、これまでいろんな素人参加番組を担当してきた。今あるアイドルオーディションバラエティの礎を築いたと自負している『ASAYAN』(テレビ東京系)に、大江裕くんをはじめ数々の素人スターを輩出した『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)もそうだ。

 素人が全身全霊を懸けて頑張る様子こそ、リアルドキュメンタリー。そしてTVというメディアは“未完成でダメダメな原石”が大好物。強力キャラの素人が放つ刹那の輝きの破壊力には、どんなプロフェッショナルでもかなわない。素人参加番組をやってきて学んだバラエティのセオリーのひとつである。

 今回、私が表彰するのは山本琉愛(やまもとるな)。世間的には無名に近い14歳の中学生である。この娘、私が構成するアイドルオーディションバラエティ『ラストアイドル』(テレビ朝日系 毎週土曜深夜0時10分〜 ※一部地域を除く)の3rdシーズンにおいて「なんじゃ、コイツは!?」と現在バズりまくっているヤバイ存在なのだ。

山本琉愛

 審査員の評論家・宇野常寛さんに「何かの間違いで紛れ込んだ素人」と言わしめたドのつく素人っぷり。幼い頃からダンスや歌のレッスンに通い、セミプロ級の実力を持つのが当たり前の世界において、ダンスも歌もまだまだこれから。いや、はっきり言おう。思いっきりヘナチョコである。

 12人の暫定メンバーに毎週挑戦者が挑み、負ければ即入れ替わり。最後まで勝ち残ったメンバーで最終的にデビューできるという番組の持つ残酷なシステムに直面。自分に挑戦者が挑んできた時にとる、彼女のリアクション。