号泣!

 まるで子供のようにビービー泣くのである。「怖い」と言って。この番組の中で過去、いろんな少女たちの劇的なうれし涙や悔し泣きを見てきたが、全然別物。彼女が泣き出すと周囲のオトナが「よしよし」モードになり、全員親戚のオジサンオバサン化する。苦笑いしながら。審査会場が、泣く子となんちゃらには勝てぬということわざ状態になるのだ。

 いにしえの『ASAYAN』以来、それこそ何百人のアイドルの卵たちの涙を見てきたが、ここまで規格外に泣き虫な少女は初めて。そして4人いる審査員が全員彼女に1票を投じてしまい、いつも勝ち残る。

 いったい彼女の魅力って何なんだ? それについて、審査員のプロインタビュアー吉田豪さんがコメントでズバリ喝破してくれた。

アイドルとは不正解が正解になってしまう稀有な存在である」

 ダンスも歌もヘナチョコ。何かと言えばすぐ泣いてしまう。他の表現者だったらマイナスにしかならない要素も、ことアイドルに関しては「だから可愛い!」と武器として反転させることが可能。彼女の泣きキャラは、その法則をまんま体現しているのだと。

 まだまだ続く『ラストアイドル』の死闘。デビューまで先は長い。彼女には「そのままピュアなままでいて」賞を勝手に差し上げて表彰したい。

 2018年、TV界に突如出現した超のつく泣きキャラ。要チェックである。


<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。

<鮫肌文殊からお知らせ>
 久しぶりにレギュラーイベント以外でゲストDJやります! 「スナック馬場7周年」6月9日(土)22時スタート。小西康陽さんをはじめ超豪華DJ陣の中、ド素人DJの俺も山本琉愛ばりに泣きながら頑張ります。
 そして鮫肌文殊率いる伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のライヴも大決定! 6月24日(日)梅田ハードレインにて。新曲も披露。関西地方の方々、絶対に見逃し厳禁です。