それから4年。施設に転居してきた当初、身体も心も元気をなくし、表情が乏しかったという澤田さんは、当時が想像できないほどの笑顔を浮かべながら語ってくれた。

カメラに向ける顔が似ている澤田さんと祐介は猫と暮らすユニットで過ごす
カメラに向ける顔が似ている澤田さんと祐介は猫と暮らすユニットで過ごす
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「自分が連れてきた動物と一緒に住める。今までと同じように“ゆう”と一緒に年を重ねていける。それがうれしい」

 澤田さんと祐介は、毎日枕を並べて寝ている。ときどき夜中に目が覚めてふと隣を見ると、祐介も澤田さんの顔を見ていることがあるという。

「そういうのが、すごく幸せ。かけがえのない大事なとき」

 同施設で暮らす榊原桂子さん(80)は、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの“なな”(5歳)と一緒に’16年12月に入居した。

 “なな”を迎えた数年後に、進行性の難病を患った。転びやすくなり、話しづらさや、飲み込みづらさといった症状がみられることが特徴の病気だ。

恥ずかしがり屋のななは、とびきりの笑顔を見せてくれた榊原さんのそばから離れなかった
恥ずかしがり屋のななは、とびきりの笑顔を見せてくれた榊原さんのそばから離れなかった

 榊原さんは、何度も転倒を繰り返した。食事をするときにイスから転げ落ち、ヘルパーの訪問までそのまま床に転がったままだったことや、夜中トイレに行くときに転んで朝までその状態で過ごしたこともあった。繰り返す転倒のせいで肋骨(ろっこつ)にひびが入り、骨折をしたことも。「“なな”と暮らせないなら、施設には絶対に入らない」と在宅での療養をあきらめなかった。

 そんなときに榊原さんの家族が見つけたのが、さくらの里 山科だった。

「この病気は笑顔が出にくく、能面のようになるのが特徴。まぶたを開けることも難しいんです。でも、施設に来て、たくさんの動物に囲まれているおかげか、自宅にいたころよりも、“元気になったわね”と言われるようになったし、笑顔も出るようになりました」(榊原さんの家族)