上から目線のミスター・スポックが説教&うんちく

 そんな波瑠に、再雇用の話を持ち掛けたのが、女性誌編集長の伊勢谷友介。謎のドングリヘアで一瞬ミスター・スポック風だが、威厳はまったくない。

「体当たり婚活記事を書いて、半年以内に結婚しろ。それが復職の条件だ」という。いや、この文言の頭に「オレの言うことを聞け。オレの言うとおりにしろ」というのがつく。はぁ?

 性格の悪い男が上から目線で、女に恋愛指南をするのは、ドラマでよくある構図なんだけど、伊勢谷には憐れみしかない。自分大好き、ハイブランド大好きで、ブランドの蘊蓄(うんちく)だのヒストリーだのを絡めるのだが、人が死ぬほどの暑い夏に、今一番どうでもいい話を延々と。滔々(とうとう)と。

 元彼に嫉妬させるためには突き放せ、という前近代的作戦以前に、「オレ、いい男」という前提もまったくふに落ちない。元彼に都合よく使われて、うっかりセックスまでしちゃった波瑠に「自分をもっと大切にして、自分を愛せ」だってさ。女性限定で貞操教育しかできない老害教師か?

 写真やアニメーションを駆使し、蘊蓄を解説していくドングリ伊勢谷は、なんというか、ゆるキャラのようなものだ。なにか説得力のある理論が入っていれば別だが、マジでたいしたことを言ってない。どこかで聞いたような手あかイズムオンリー。

『LOVE理論』(テレビ東京系)で中村獅童や片岡愛之助が吼(ほ)えて炸裂するほどのインパクトもなければ、『私結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系)の藤木直人ほどの切れ味もない。

 観るものに共感と感動を産む解説者のお手本としては、子供向けの教育番組『まんがはじめて物語』(TBS系)のモグタンに学んでほしい。あ、古いね。40代以上しかわからないね。ウィキペディアで調べてくれ。