殺処分される猫を救うために

 これまでに触れてきたように、猫ブームの一方で悪質なペット業者の台頭も目立つ。金儲け主義のブリーダーが数多く産ませ、それを消費者が購入し、飼いきれなくなったら捨ててしまい、やがては殺処分される道筋をたどる悪循環ーー。

 これを断ち切るために地域猫活動がある。ちなみに、広島県は'11年に犬猫の殺処分数が全国ワースト1位という不名誉な記録を残している。

 県では'15年から、地域猫活動を推進するためのガイドラインを策定、地域で暮らすノラ猫への不妊・去勢手術を毎年、無料で実施している('18年は先着200頭を対象)。それに基づき、尾道市でも今年7月、地域で暮らすノラ猫への不妊・去勢手術が行われた。

広島県動物愛護センター。現在は犬・猫を保護するだけで、殺処分は行われていない

 獣医師で、広島県動物愛護センターの所長を務める冨永健さんが説明する。

「県の事業として、民間の愛護団体に委託して取り組んだのは、全国でも今回の尾道が初めて。ノラ猫をもっと減らすためには、実績のあるNPOと組んで、モデル的にやってみようとする試みです」

 ノラ猫を捕獲して(Trap)、不妊・去勢手術を行い(Neuter)、それからもといた場所に戻す(Return)。これを「TNR活動」といい、ノラ猫が増えすぎないよう、繁殖を抑えるのに有効な手法と言われている。

 この活動を県から委託されて行うのが、NPO法人『犬猫みなしご救援隊』代表の中谷百里さん。20年以上にわたるキャリアをもち、広島市動物管理センターに持ち込まれた猫を全頭引き取り続け、市で実質的に「殺処分ゼロ」のきっかけを作った伝説の人物だ。

 中谷さんらは県が始める前から、手弁当でTNR活動を続けてきた。

「犬猫の殺処分に対する取り組みへの批判から、これまで私は、行政をずっと攻撃してきたんですね。でも、互いにいがみあっていても物事は進まないので、協力できることがあればしなきゃいけないな、と」(中谷さん)