ココやソラ、レオは犬猫ともにトップ10入り。犬と猫の名前に“垣根”はなくなりつつある?

 そもそも『犬たちの明治維新 ポチの誕生』(草思社刊)によれば、犬はポチ、猫はタマが“あるある”だったのは明治38(1905)年ごろとされている。尋常小学校の唱歌に『ポチとタマ』が採用された背景があるよう。そんな明治時代の犬のランキングを見ると、クロやシロ、アカなど“見たまんま”のシンプルな名前が多い。

 そして時代は昭和から平成へ。'92(平成4)年ごろのランキングを見てみると、猫7位のタマは健在だが、犬のトップ10にポチはなし。犬の名前のトップ3はコロ、チビ、タロー。猫はチビ、ミー、クロ。犬猫の名前としてスタンダードなものがズラリ。

「僕が勤務医になった15年ほど前は、犬はラッキー、ハッピー、クッキーのように音引きで伸ばす名前が多かったですね。あまりに診察する機会が多く、業界では“ラッキー・ハッピー症候群”なんて呼んでいたくらいです」

若い世代はオリジナリティーを重視

 では、最近は? ポチやタマを診察する機会はほとんどないのだろうか。

「そうでもないですよ。数は少ないですが、昔ながらの名前のペットは今もいます。現場の感覚で言うと、ココやモモの飼い主さんは比較的高齢の方が多いです。最新のランキングは、保険に加入した犬猫を対象にしたものですよね? 高齢者のほうがお金に余裕があったり、備えへの意識も高い人が多いんだと思います」

 一方、若い世代の飼い主はオリジナリティーあふれた名前をつけている傾向があるそう。

「ほかとカブらないことを大事にしていますね。コウ、ユウなど、ありがちな響きでも、幸、優など漢字表記にしていたり。秀吉、龍馬など歴史上の人物や、グッチ、エルメスなどブランド名をつける人も。

 そして犬よりも、猫のほうが趣味性の高い名前が多いように感じます。犬は散歩のときに名前を尋ねられることもよくありますが、猫は名前を聞かれる機会が少ないからか、飼い主さんの好みを反映した、ユニークで個性的な名前も多いですね」


《PROFILE》
佐藤貴紀先生
獣医循環器学会認定医。白金高輪動物病院、中央アニマルクリニック顧問。JVCC動物病院グループ(株)代表取締役。『ペット犬猫相談室(http://www.ortus-japan.co.jp/pet)』