完成披露舞台挨拶で「泣くシーンで泣けなくて困っていたときに“(遠藤が)大丈夫だよ”って言ってくれた」と話していた玉季ちゃん。

「監督は、子どもに対しても相当深い話をする人。(撮影当時)まだ6歳の子だから、セリフを覚えるだけでも精いっぱいだと思うのね。それを、ここが違うって言われて、演技を修正していくって本当に大変なこと。本番中、いっぱいいっぱいになっちゃったときに“うっっ”って感情を抑えながら、乗り越えようとしている姿を見て、すげーなと思いました」

いつもとは違う撮影現場に…

遠藤憲一 撮影/伊藤和幸
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 メガホンを取る、きうちかずひろ監督は、大ヒット作『BE-BOP-HIGHSCHOOL(ビー・バップ・ハイスクール)』を手がけた漫画家であり、小説『藁の楯』の著者で、本作の原作・脚本も務める人。これまで、数々の作品で自らのアイデアを提案してきた遠藤だが、今作は違ったそう。

「以前、自分で書いて監督する人と一緒に仕事をしたときに、アイデアを出して大変なことになったことがあって用心はしていたんです。

 衣装合わせのときに初めて監督にお会いして、“セリフの語尾を変えてもいいですか”とお聞きしたら、そんなに積極的な感じではないけど“いいですよ”と言ってもらえて。

 オレ、現代劇ではセリフを一言一句覚えないようにしているんです。実際に撮影が始まったときの気持ちもあるし、相手に言われて変わってくることもあるので。

 今作でも、初日から思いつくことを全部話して、数日たった、ある日に監督が“遠藤さん、これ以上、アイデア出さないでくれるかな。キリがないから。予算も日数もない。任せてください”って。それで全部任せることになったら、セリフも一言一句、変えられなくなっちゃって(笑)」

 クランクアップの数時間後には、次の作品の撮影が入っていたこともあり、監督にきちんと挨拶ができなかったそう。

「完成した作品を見るまで、オレもそうだけど、監督も不安だったと思う。試写で見たら、すごく力のある作品になっていて。すぐに監督のところに行って“よかったです”って、笑顔で握手しました(笑)」

 今作には、情報屋の役で竹中直人も出演している。その竹中を見て驚いたというのが、

「竹中さんって、ふざけるのが好きな人でしょ。自分の感性をありのままに表現するというか。それが、竹中さんの撮影初日を見たら、セリフを一言一句、違えずに言ってるの。

 それで、“監督と初めてじゃないの?”って聞いたら、“もう何度もやっている”って。あぁと思って(笑)。竹中さん、自分から出演したいって言ったらしいから。監督のことが好きなんだと思う。オレも次は、頭から信用して、セリフを一言一句、覚えていきますよ。そうじゃないと、“だったよ”じゃないです“だった”ですって言われちゃうんだもん。そのくらい言葉にもこだわる監督なんです」