さらには、カビも発症の要因に……。

「カビくさい家に住んでいたら引っ越したほうがいいですよ。実際に引っ越した患者さんもいらっしゃるほど。アルツハイマーの患者さんのなかには、結構な割合で体内からカビが見つかった人もいます」

絶食が予防と症状改善に効く

 脳の栄養が足りないことも要因となるようだ。

アルツハイマーの患者さんは、脂肪が変化して作られる物質『ケトン体』をエネルギーにすると症状の治りがいい。ケトン体が出るのは絶食時です。私のクリニックでは、認知症リスクの高い遺伝子を持っている人は1日16時間の絶食、そうでない人は12時間の絶食を行ってもらっています」

 絶食は、症状改善だけでなく予防にもなるとか。

「食事も糖質は少なめにして、血糖値の上がりやすいものを避けることでも予防できます」

 とはいえ、すべての要因を避けながら生活するのは難しい。白澤先生は、「極力避けたほうがいいが、食べたあとで解毒することがより重要」と強調する。

「オススメはアボカドとキノコ。パクチーなどの香草、ブロッコリーや大根も解毒作用があります」

 認知症予備群といわれるMCI(軽度認知障害)と診断された人のうち、約6割が3年以内に認知症になる。早めの検査と治療、日々の予防対策が必要だ。


体内の“毒”を除去するおすすめレシピ

サーモンとアボカドのカルパッチョ

【材料(1人分)】
サーモン…180グラム、玉ねぎ…1/2個、アボカド…1個、オリーブオイル…大さじ1、レモン汁…大さじ2、ハチミツ…小さじ2、塩・コショウ…少々
【作り方】
玉ねぎをスライスして塩でもんで水洗いをして水けを切る。サーモンと皮をむいたアボカドをスライス。玉ねぎの上にサーモンとアボカドをのせ、オリーブオイル、塩・コショウ、ハチミツ、レモン汁をまぜあわせたものをかける。


《PROIFILE》
白澤卓二先生 ◎しらさわ・たくじ。医学博士。抗加齢研究所所長。お茶の水健康長寿クリニック院長。東京都老人総合研究所などを経て、2015年まで順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。寿命制御遺伝子やアルツハイマー病などの研究が専門。『ボケた脳がよみがえる』(主婦の友社)など著書多数