現在、国内に462万人の患者がいる認知症。高齢化に伴い増え続けており、厚生労働省の推計では、2025年には700万人に達するという。その大部分を占めるアルツハイマー病は「なったら治らない」といわれているが……、

「昨年、アメリカでアルツハイマー病の世界的権威、プレデセン博士が画期的な治療法を発表、注目を集めています」

 とは、老化研究の第一人者である白澤卓二先生。

アルツハイマー病の発症を防ぐには?

「プレデセン博士が提唱する『リコード法』は、アルツハイマー病の主要因となる36項目を排除すれば、記憶障害などの症状が改善できるというもの。それに独自開発の治療をプラスして、私のクリニックで始めたところ、9割以上の患者さんに改善が見られました」

 従来、アルツハイマー病は、アミロイドβという脳内で作られるタンパク質の一種が発症に大きくかかわっているといわれてきた。この物質が脳内に蓄積すると、神経細胞がダメージを受けて死に至り、認知症を発症させる。そのため、これまでアミロイドβの蓄積を少なくする治療法の開発が重ねられてきた。

「ところが最新の研究によると、むしろアミロイドβが、アルツハイマー病の要因となる炎症や毒素などから脳を守っていたことがわかりました。要因物質が増えるにつれて、アミロイドβも脳内に増えて蓄積していたというわけです」

 アミロイドβが蓄積する前に、発症につながる要因をいかに取り除いていくかが重要になる。『リコード法』では、アルツハイマーを引き起こす要因として36項目をあげている。その対象は、先述した炎症や毒素のほか、ApoE4と呼ばれる遺伝子を持っていること、栄養不足や睡眠不足など幅広い。

「ApoE4遺伝子の有無は検査でわかります。両親のどちらかが認知症になった方は、調べてみるといいかもしれません」

 カドミウム、水銀などの重金属も、発症の引き金になるとされている。

「汚染土壌で育った農作物から体内へ取り込む可能性があります」

 重金属は海水にも含まれる。プランクトンを経て蓄積され、大型魚ほど高濃度になりやすい。

「マグロなどの大きくて寿命が長い魚、汚染された土壌で育った野菜、農薬まみれの野菜は極力避けたほうがいいでしょう」