中核都市の地銀は生き残る可能性大

 反対に、経営状態がいい地銀も調べてみた。全国1位となったのはスルガ銀行(静岡県)。同行はその後、シェアハウスをめぐる不正融資問題が発覚。現在は業績が悪化しているが、多くの地銀がモデルにする銀行だったのも事実。

「スルガ銀行は、組織には問題がありましたが、早くからネットに目をつけ、全国から貸し手や借り手を募るなど積極的なビジネス展開をしていました。こうした攻めの姿勢にある地銀はやはり強い。

 また札幌、仙台、名古屋、広島、福岡といった地方の中核都市にある銀行も人口減少による影響が比較的少ないことから、生き残る可能性が高いといえるでしょう」

 とはいえ、全体に見れば、経営リスクを抱えた地銀が日本各地で増えていることは間違いない。

「IMFは、経営統合や手数料の見直しなどで経営を立て直すべし、とレポートで指摘しましたが、そう簡単にはいかない。地方の人にとっては嫌な話かもしれませんが、地銀が統廃合する流れは止められません」

 もし、あなたの街の地銀が統合されてしまったら、生活にどのような影響があるのだろうか。

「統合で変わるのは銀行名だけではありません。店舗の数が減ります。その際、つぶす候補として最初にあがるのは、経営状態が悪く、実質的に吸収された側の店舗になるでしょう。どこに置くかも経営効率から再検討されるので、店舗が増える地域と減る地域との落差が生まれることも。預金が減ったりする心配はありませんが、おなじみの店舗がなくなったり、使っていたサービスがカットされたりする可能性も

 そうなる前に、できるだけリスクを分散させる必要がある、と加谷さん。

「このランキングを参考に、地銀選びについて考えてみるのもいいと思います。また近所の地銀だけに限定せず、ゆうちょ銀行やよその地銀、ネットバンクなどの活用を検討してみるのもいいでしょう」


《PROFILE》
加谷珪一さん
経済評論家。著書に『億万長者への道は経済学に書いてある』『大金持ちの教科書』など