症状は目立たず、本人が気づかないタイプの脳卒中も。「隠れ脳梗塞」「ミニ脳卒中」と呼ばれるものだ。

脳梗塞に気づかない場合は多々ある

「まれに症状が出にくい部分、例えば脳の右側にある前頭葉の血管が詰まるなどして、あまり症状が目立たない脳梗塞もあります。また一過性脳虚血発作のように、24時間で症状が消えて、なんとなく手足が重かったけれど治ってしまい、脳梗塞に本人が気づかない場合も。

 自覚症状がないことはいくらでもありますし、脳梗塞で前兆があるものは2割程度にすぎないのです

 目立たない症状だと、医師すら見過ごしてしまうケースも少なくないという。

「まったく医者知らずで来た人ほど危ない。軽い症状が出て近所の病院へ初診で駆け込んでも、様子をみましょうとなることが多い。定期的に血圧を測っているような病院があれば、いつもと違うことに気づいてくれて、早く救急病院にたどり着いてダメージが軽くすむ可能性がある。ちょっとした変化に気づいてくれるかどうかは大きいですよ」

 自覚症状もなく、前兆もつかめず、かかりつけ医もいない場合はどうすれば?

「まず、血圧が高ければ下げる。最大の予防になります。コレステロール値も、特に悪玉のほうを下げる。それから禁煙しなければ始まらない。生活習慣病で喫煙は圧倒的なデメリットになります。

 飲酒も昨年、イギリスのランセットという有名な医学専門誌に、酒に適量はないとする研究報告が載りました。飲酒量が増えれば、脳卒中や認知症、食道がんのリスクも上がっていくとされています

 血管の病気が症状として現れるのは20年~30年後。その期間を血圧が高いまま過ごせば、血管はもたない。未来の自分や家族のため、今日から取り組んでいこう。