最近、よく耳にする「インフルエンサー」という言葉。主にインターネットやSNSで世間に与える影響力が大きい人のことをいう。ブロガーで作家のはあちゅうさん(33)は、そんなインフルエンサーの代表格であり、ネットで生きる人々の草分け的存在だ。

発信を続けていれば、チャンスがもらえる

 そのスタートは、まだブログが珍しかった'04年。大学に入学した年の6月だ。

「当時、7人の文通相手がいて。“ブログにすれば、7人の相手に1度に読ませられる”と思って、自分の日常をつづったブログを書き始めました」

 11月には、友人と「クリスマスまでに彼氏を作るブログ」を立ち上げる。2人の女子大生は素顔を明かして発信。ドラマにもなった『電車男』とともに盛り上がり、多くのウェブメディアで紹介された。その後、ブログは書籍化され、はあちゅうさんは“カリスマ女子大生ブロガー”として注目される存在になった。

 そもそもブロガーとは、ブログを書く人のこと。そこに広告を貼り収入を得るのがプロブロガーだ。しかし、はあちゅうさんの活躍の場はブログだけにとどまらない。卒業旅行ではスポンサーを募り70日間で世界一周をした。就職後は週末作家としてブログを書き、ツイッターもスタート。依頼があればウェブメディアでコラムなどを執筆した。

「発信を続けていれば、新しいチャンスをいただけると思いました。会社員との両立で、少ししか受けられませんでしたが、実際、ウェブメディアからの依頼は多かった。初めは1本数千円、名前が知られてからは1本数万円の原稿料をいただいていました」

 ツイッターからダイレクトメッセージで依頼が来たこともあるそうだ。

「'12年からはフェイスブックの会費制コミュニティー“オンラインサロン”で友人と共同でサロン運営をしています。オンラインのディスカッションやオフ会、イベントを通して、夢を叶えるためのノウハウや知識、人脈などを紹介する場にしています」

 この活動を含め、勤務先以上の収入を得られるようになり'14年、約6年続けた会社員生活を終わらせ、フリーランスに。モットーは「人生全部コンテンツ」SNSの特徴を踏まえて、使い分けるよう心がけていると話す。

 例えば、告知や考えていることをこまめに投稿するときはツイッター。オンラインサロンのベースはフェイスブック。インスタグラムは、仕事のことや食べたものなどの日常をランダムに投稿する。さらに『note』(文章、写真、音楽などを投稿、販売できるサービス)では、多彩なテーマのエッセイを読める「月刊はあちゅう」を課金制で公開している。

「ツイッターは全体的に利用者数が多く、拡散しやすいのが強みなので、私のことを知ってもらうきっかけとなるように意識しています。インスタはフォローに至るハードルが高くて、女性誌的な世界観を求められる。最近ではユーチューブも始めたので、ほかの人気コンテンツを見ながらどう発信するかを研究中です」