矢田さんが俳優としてスタートしたのは、雑誌の読者モデルがきっかけだった。その前は、アパレル業界を目指していたという。

「たまたま人前に出る機会があって、そういうのも楽しいなと思っていたらチャンスに恵まれて。歌はもともと好きで、高校生のころは週3くらいでカラオケに行って歌ってました。それが生かされるなんて思いもしませんでしたけどね(笑)」

 俳優修業は『テニミュ』こと『テニスの王子様』がさせてくれた。

「舞台上で“この役を生きているな”と実感できるような役にまた出会いたい」
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「やはり『テニミュ』に育てられたと思います。だから『テニミュ』に出ていた人に会うと、年代が違っても“おっ!”ってシンパシーを感じるんです(笑)。男子校の部活ノリで、厳しかったけど “あれができたんだから大丈夫”みたいな自信も芽生えました」

 そして「役者としての何もかもを変えた」のが『アルジャーノンに花束を』への大抜擢。幼児の知能から天才へと変化するチャーリィ役を演じ、感動を呼んだ。

「この作品をやった後ではいただく台本の色が違って見えました。以前よりもっと“いろいろできるな”と感じたんですね。書かれていることだけじゃなくて、深められると。チャーリィは苦しい役でしたしたいへんでしたけど、そのぶん、舞台上で“本当に生きているな、この役の人生を歩んでいるな”と感じられたので、そういう役にまた出会いたい。いまの役ももちろん演じがいはありますが、あそこまで追いつめられる役ってなかなかないので。稽古中は1日100個くらいダメ出しを言われましたから。“もうこれ以上は入りません、限界です!”ってなると稽古が終わる、みたいな(笑)」

 かなりストイックなんですね!?

「どうかなあ(笑)。でも僕はいつも作品全部を背負っているくらいの覚悟で、自分の全存在を懸けて舞台に立っています。だからめちゃくちゃ追いつめられてしまうんですけど、自分のやろうとしたことがはまったらすごく楽しい。納得いかない歌い方をしてしまったら最悪の気分になりますけど(笑)。そういうことも含めて、生の舞台が好きなんだと思いますね」

<出演情報>

ミュージカル『Red Hot and COLE』『エニシング・ゴーズ』や『キス・ミー・ケイト』などのミュージカルや数々のスタンダード曲を生み出した作詞・作曲家、コール・ポーター。名門の出でパーティー好きだった彼の愛や孤独、人生を名曲で綴る。ソングライターを描く「ブロードウェイ・ショウケース」シリーズの第3弾。東京公演は3月1日~17日 博品館劇場。

<プロフィール>
やた・ゆうすけ◎1990年11月16日、大阪府生まれ。雑誌の読者モデルを経て、2012年に俳優デビュー。同年から'14年までミュージカル『テニスの王子様』7代目青学・不二周助役を演じ、注目を集める。'17年にはミュージカル『アルジャーノンに花束を』で初主演を果たした。近年の主な出演作に『THE CIRCUS!』シリーズ('16-'18)、ミュージカル『王家の紋章』('16-'17)、『ドッグファイト』('17)、『「陰陽師」〜平安絵巻〜』('18)、ブロードウェイ・ショウケース『ロジャース/ハート』('18)、『The Silver Tassie 銀杯』('18)など多数。

<取材・文/若林ゆり>