ジャニーズが揺れに揺れている。嵐の活動休止が発表されて、まだ日も浅いのに、関ジャニ∞錦戸亮の“脱退騒動”が飛び出してきた。

 『週刊文春』(3月14日号)の記事に続いて、各週刊誌が後追いする形で錦戸について報じているが、こうも立て続けに“騒動”が起きると、ジャニーズ事務所は大丈夫なのか? と心配する声が出てくるのも当然だろう。

 ここ数年、人気沸騰中にもかかわらず、個人の意思あるいはメンバー同士や事務所との確執を原因に所属グループから脱退して、ジャニーズから独立する例は少なくない。

 私の記憶では、KAT‐TUNが最初の事例だったと思う。かつてシブがき隊が解散して、メンバーが独立したあとも、それぞれが各方面で活躍し続けているが、それはあくまで“円満退社”だったから。そうでない場合、“干される”危険が待ち受けている、というのは芸能界の定説だ。特に事務所が大きければ大きいほど、その危険性は増すとされてきた。

俳優の成功例はまだない

 しかし、最近は状況が変わってきている。

 昨年から、芸能人が事務所と交わす契約に関して、公的な機関の監視が厳しくなっているし、事務所の理不尽な振る舞いが発覚すればファンも黙っていない。場合によって、事務所は非難の嵐にさらされることもある。

 錦戸に関して言えば、これまで数多くのドラマに出演し、昨年はNHK大河『西郷どん』での演技が高く評価された。今期の月9『トレース〜科捜研の男〜』(フジテレビ系)で主演するなど、役者としてのポジションを着々と固めてきている。

錦戸さんが当時から親しくしていた赤西仁さんや、同じグループにいた渋谷すばるさんらが音楽活動で成功しているのとは違い、彼は“役者としてやっていきたい”という気持ちが強いようです。ジャニーズ事務所から円満ではない形でグループから脱退し、俳優一本で成功した例はまだないでしょう」(芸能プロ関係者)

 音楽業界なら、ファンさえ多ければライブの動員によって稼ぐことができる。特に赤西は海外でも人気を誇り、ハワイに別荘を持って悠々自適な生活を送っているという。

 個人事務所ということで、儲けの多くを独占している彼は、ジャニーズから“脱退”しても成功しているかっこうの例だ。ただ、錦戸が目指しているのは俳優業。

 ドラマを制作する“テレビ業界”がいまだにジャニーズに忖度(そんたく)している部分は大きいと言われている。

 今後、錦戸が独立した場合、とりあえず映画や舞台が主戦場になることが予想される。というのも、映画・舞台業界はテレビとは異なり、事務所の横やりが入りづらい。監督をはじめとした制作サイドの「錦戸を使いたい」といった意思が強く尊重される。演技力に定評のある彼ならすぐにオファーがきても不思議ではないはずだ。

 錦戸ほどのクラスになれば、「うちで面倒をみたい」と言い出す大手事務所も少なくないだろう。『女性セブン』(3月28日・4月4日号)では数年前からすでに個人会社を設立したという話も。

 独立の日が迫っている。 

 今後、ジャニーズ事務所がアイドルではなく“俳優養成所”となるのもアリ!? 

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。