ほかにも猿のマスコットキャラクター・モンチッチのファンイベント『モンチッチ展』のためにデザインしたというオリジナルの作品が、“天ぷらモンチッチ”という、人形の全身をサクサクの天ぷら衣で覆うというすごい発想のものでした」

ピエール滝がデザインした「天ぷらモンチッチ」(インスタグラムより)
ピエール滝がデザインした「天ぷらモンチッチ」(インスタグラムより)
【写真】辛酸なめ子は見た! ピエール瀧がインスタにアップしていた“怪しい画像”たち

──麻薬取締部もピエールさんのインスタを常にチェックして“キメている日”を見極めていたのかもしれませんね……。ピエールさんが罪を償ったあと、電気グルーヴがどうなってしまうのか気になりますが。

「電気グルーヴが手がける音楽は海外でも相当な人気だと聞きますし、今後、活動の場は日本でなく海外になるのかもしれません。

 石野卓球さんがピエールさんの逮捕後にツイッターに電気グルーヴの“ユニットロゴ”のタトゥーを入れている写真をアップしていましたが、あれも“もう日本の銭湯は行くつもりはない”という意志の表れなのでしょうか……

人生初のタトゥーを入れたという石野卓球(ツイッターより)
人生初のタトゥーを入れたという石野卓球(ツイッターより)

──大混乱を生んだ今回の逮捕劇、ネットでも非難の声が多くみられました。

「人は誰しも何かに依存していると思うんですね。それは例えばチョコレートやタピオカ、アルコールかもしれないし、あるいはペットの犬や猫を溺愛しているかもしれない。スマホやゲームも脳の報酬系を刺激し、依存性が生まれるという意味ではドラッグと同じかもしれません。

 コカインは違法ですが、みんなそこまで非難する必要はあるのかなと思いますね。むしろ連日報道されるこのニュースに過剰反応しているネットの人たちもある意味、“ピエール依存症”になってしまっているのかも

──その関係かどうかわかりませんが、カラオケ店に行ったら、デンモクの履歴にほかの客が入れたであろう『Shangri-la』が多くみられました。

「確かにニュースで曲がたくさん流れることで“歌いたくなる”ということはありますよね。私もASKAさんが逮捕されたとき『SAY YES』が頭のなかでずっと回っていました。光GENJIの赤坂さんのときは『ガラスの十代』だったり……。逆に飢餓感が煽られるのでしょうか。

 逮捕された後でも“あの曲いいな”と思えるということこそが、“曲に罪はない”ことの証明なのかもしれません。でもやはり、薬物依存は怖いですし、ご本人も内心“やめたい”と感じていたと思うので、これを機にリハビリをして依存から抜け出して欲しいです


辛酸なめ子/漫画家・コラムニスト。
東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)など。