年を重ねるほど新たな出会いも少なくなり、決まったパターンになりがちな毎日の生活。極端な話、朝にテレビをつけて、そのまま1日を終えることもあるかもしれない。そんな日常に変化をもたらすことができるのが、「読む」ことと、累計20万部のベストセラー『心とカラダを整える おとなのための1分音読』著者の山口謠司先生(大東文化大学准教授)は話す。

新元号を迎えた今、あらためて
日本語の基礎の文献、本を読む

「小学校や中学校の授業、あるいは高校の古典で読んだような、誰しもが知っている作品があり、また知っている作者がいます。その名前をふと見たとき、“ドキッとする”“キュンとする”感情に駆られませんか? そんなときめきが“心にいい”のです。例えば、森鴎外の『舞姫』は高校の教科書に採用されていますが、読み進めると高校生のときの気持ちを思い出し、立ち返って“キュン”とするのではないでしょうか」

山口謠司先生 撮影/北村史成

 また、これらの作品をただ「黙読」するのではなく、声に出して「音読」することで、心だけでなく身体にもいい影響を与えることができる。

「特に、ひとり暮らしをされている方の場合、誰とも話さずに声を出さなくなってしまうと、だんだんと口やのどの筋肉が衰えていきます。すると、次第にごはんも食べられなくなっていき、身体も弱っていってしまうこともあります。声を出して読むことで、心だけでなく、身体も元気に整えることができるのです」

 では、実際に音読を始めるにあたり、具体的にどんな作品を読めばいい?

私がオススメしたいのは、明治、大正、昭和初期の作家が書いた作品です。当時使われていた古い言葉は、70代、80代の方が子どものころに読んでいた言葉なのですが、これは私たちが使う現代日本語の基礎を作っている言葉なのです。極端な話、音読をするのに漫画でも何でもいいと思いますが、せっかくですから、日本語の基本に立ち返る意味でも、ぜひ基本の文献、基本の本を読んでいただきたい」