擬音は必ず3回

 そして、間を取ることを忘れないように、と続ける。

「間を開けずに話し続けてたり、間を埋めようと早口になる人も多い。間は相手が想像するための時間だと思ってください。相手のリアクションがなくても不安がらないこと。そのとき、相手は話されているシチュエーションを想像しているんです」

 一方的に話せば、想像する暇を与えず、相手を置いてけぼりにしてしまう。“間”というものは、相手の身を乗り出させるためのテクニックと心得るように。

「擬音を使う場合は、ドンドン! ドンドン! (より大きな声で)ドンドン! と3回伝えるほうが効果的。その際、抑揚をつけるとより臨場感が増します」

 なんでも大御所・稲川淳二も、擬音は必ず3回唱えるそう。後はどうオチを迎えるか。

「いちばん自分が伝えたいこと=オチ」

 そう島田さんはレクチャーする。

「例えば、居眠り運転をして死ぬかと思った、という話を普通に話しても、“へぇ~”で終わってしまう。ところが、サービスエリアで仮眠を取っていたら、やたらとクラクションを鳴らされる。不審に思って振り返ると……そこで目が覚めて、自分が居眠り運転をしていることに気がついた。

 クラクションは蛇行する自分に対して実際に鳴らされていたのだ─、とすると、居眠り運転という同じ状況でも、相手に伝わる力がまったく違う」

 ただの居眠り運転の話でも、ドキッとする話に。最も怖がらせたい部分を輝かせるため、話をどう組み立てるか。そこにトーク上達のヒントがあるのだ。

怖がらせたい部分をいちばん伝えたい部分に置き換えることで、自己PRなどに応用できますよね。海外でボランティア活動をしていたことを訴えかけたいなら、その部分を光らせるために、どう構成するか。そして、間や明確さを意識する。怪談は人を怖がらせるだけではなく、会話の肝を育てる力もあるんですよ

《怪談に学ぶトーク上達の4箇条》

・「いつ」「どこで」「誰が」を鮮明に
・“間”は相手に想像させるための時間
・強弱や抑揚を忘れないように
・ いちばん自分が伝えたいこと=オチ


《PRIFILE》
島田秀平 ◎しまだ・しゅうへい。8月より公式YouTubeチャンネルを開設。10月には東京と大阪で単独ライブ『島田秀平のお怪談巡り』を開催。チケットぴあで発売中