安室奈美恵が引退して1年がたとうとしている。昨年9月15日に故郷の沖縄の宜野湾市でラストライブが行われ、翌日に彼女の引退を記念して同市で花火ショーが開かれた。お忍びで来場した姿を最後に、この1年、彼女の目撃情報はほぼ皆無だ。引退後に出た彼女に関する記事も、花火ショーに現れたときに着ていた浴衣が人気になっているというもので、彼女自身に関する話ではない。

 マスコミ報道が徹底してなされないのにはワケがある。

 それは、ラストコンサートの数日前に、彼女の代理人弁護士から週刊誌をはじめとする各メディアに送られた“取材自粛要請”が“にらみ”をきかせているからだろう。

 その内容は、

安室のプライバシーに関する記事や名誉を棄損する記事等が掲載された場合には、一般私人への権利侵害行為として、しかるべく法的措置を講じることになります

 というものだった。

 つまり、「私人となった安室さんを取材したり、記事にしたら訴えますよ」ということだ。

“私人”になったはずなのに

 裁判にかかる費用と労力、敗訴の場合は賠償金をとられる危険を冒して“手を出す”メディアは出てこないだろう。

 メディアはそうだとしても、目撃情報がなく、SNSなどネットにも何も上がらないというのは不思議に思える。彼女自身もSNSを含め自ら何か発信することは一切していない。メディアにも要求した以上、自分も“一般私人”を徹底しているところは、中途半端な“引退芸能人”と一線を画していて、“さすが安室奈美恵”と感心せざるを得ない。

 ただ、ファンの“飢餓状態”は日増しに強くなっているようで、安室の“美学”を尊重しながらも復帰を望む声も多いことは言うまでもない。

 そんな折、彼女の故郷・沖縄で、“9月16日”が注目を浴び始めている──。

 地元紙の『沖縄タイムス』社と県内50社80店舗が一緒になって取り組む『愛(かな)さ□NAMIEいちまでぃん。』プロジェクトが9月1日から始動した。安室の誕生日である20日まで続くイベントのなか、今年も16日に同市で『WE□NAMIE HANABI SHOW』と銘打った花火ショーが開かれる。

 事前に運営サイドは《※安室奈美恵さんご本人の出演はございません 》

 とあるのだが、昨年はお忍びで来場していることから、今年も現れるのではとファンの期待は高まっている。

 さらに16日が『安室奈美恵の日』になるという話も浮上している。

 ファンの「安室さんの記念日を作りたい」という声を受け、宜野湾市観光協会が日本記念日協会に申請したのだという。現時点では正式発表はないが、決まれば同日、メモリアルイベントが開催される予定もあるという。驚くべきは、この申請の前に“本人の承諾を得ている”と報じられたことだ。

「今回のプロジェクトや花火のショーには50社、80店舗もの企業が協賛として名前を連ねています。つまり、それほど“安室奈美恵”という名前はお金を生むんです。ファンを喜ばせたり、沖縄を盛り上げるために特別にオファーを受けたのでしょうが、『引退』を発表し、“私人”になったはずなのに『安室奈美恵の日』制定を許可したのには驚きました。

 記念日ができることで毎年、1度はマスコミに取り上げられる機会ができてしまいます。こうなると、彼女が望んでいた私人としての生活から遠のくことになってしまうのではないでしょうか。

 一部週刊誌によると、“彼女が申請を喜んでいる”と報じられています。そうなると、彼女の名前を利用して儲けようとする“どじょう”が何匹も出てきてしまいそうですね」(芸能プロ関係者)

 ちなみに、すでにイベントの成功がはっきり目に見えている花火ショーチケットは7500円で計2万人が来場するという。すでにグッズの販売も決定ずみだ。

 引退して1年たっても安室奈美恵の“経済効果”は衰えを知らない。

(※文中の□の正式表記はハートマーク)

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。