てっとり早いのは、働いてお金を稼ぐこと

 ここからは、老後資金を貯めるためにすべきことをチェックしていこう。

 とはいえ、消費税は10%にアップし、生活はより厳しく。老後資金作りまで手が回るかどうか……。

「今回の増税で、一般家庭では1か月で約3000円の負担増になっていると言われています」

 とは山口さん。さらに、

「“節約しなきゃ!”モードに突入していると思いますが、節約には限界があります。節約で1万円を浮かせるのはかなりキツい。だったら1万円を稼ぐほうが、ハードルは低くないですか? 老後資金は天から降ってはきませんので、とにかく働くことです」

 山崎さんも働いて収入を増やすことに賛成だ。

老後の家計を考えて、専業主婦も働くことをおすすめします。すでに働いているなら、働く時間を増やしたり、副業を検討してもいいでしょう」

 その際、パート主婦を悩ませるのが“130万円の壁”。社会保険料を自分で払ってまで働くべきなの?

 北村さんの解説は、

「正確には、勤務日数と勤務時間が正社員の4分の3以上になると、厚生年金に加入します。また、従業員が501名以上の企業のパートなら、週20時間以上で月収8万8000円以上、かつ1年以上の勤務見込みなら、厚生年金に加入します。これらの条件を満たさず年収130万円を超えた場合は、国民年金保険料と国民健康保険料を自分で納めます。いずれにせよ、保険料を負担する分、手取りは減ることに

 保険料を負担しても、それをしのぐほど働けば、もちろん収入はアップ。特に厚生年金に加入すると、保険料の半分を会社に負担してもらいながら、年金の2階建て部分(老齢厚生年金)が増える。例えば、月収8万8000円の場合、保険料は月額1万6104円(本人負担は8052円)。1年加入した場合、年間で約5800円の年金が増える。20年加入だと、年間で約11万6000円の増。しかも、これは一生涯受け取ることができる。

「目先の手取り金額だけにとらわれず、老後を見据えて働き方を決めるといいと思います。特に昭和41年4月1日以前に生まれた女性は、65歳になる前から2階建て部分の年金がもらえるので、厚生年金に加入して働くメリットは大ですよ」(北村さん)

 老後に向けて毎月貯めていくお金を確保したら、次は、そのお金をどう増やしていくかを考えよう。

銀行の普通預金や定期預金はおすすめしません。大手銀行の定期預金金利はたった0・01%。100万円を預けても、1年後の利息は約80円。お金は全然増えません。では、どうすればいいのか? それは国が用意した制度を利用して、“節税メリット”をフル活用する。これに尽きます」(北村さん)

 国としても、公的年金に頼りきりになるのでなく、ひとりひとりに老後資金を貯めてほしいという思惑が。そのため、自らお金を貯めようとしている人にはさまざまな優遇策を用意している。

「まず、誰でも利用しやすいのは個人年金保険。生命保険料控除があります。次に、所得税・住民税を納めている人は、iDeCo(個人型確定拠出年金)ですね。節税効果が非常に高いです。さらには、専業主婦にもメリットがあるのがつみたてNISA。運用益が非課税です」

 この3つを徹底チェックしていこう!