「完全DIY」3万円葬儀の内訳は

 この本を書いていると、今の葬儀がいかに故人を無視した流れ作業で行われ、高額でぼったくっているかかがわかりました。

 費用面でいうと、もし完全にDIYで葬儀ができるなら、3万円ほどの費用で行えます。東京23区の場合、最低限必要な棺(約3万円)、骨壷(約1万円)、火葬費用(約6万円 ※自治体で異なる)で計10万円。故人が国民健康保険もしくは後期高齢者医療制度に加入していれば、自治体に申請することにより「葬祭費」が支給されます(東京23区は7万円。金額は自治体によって異なり、だいたい1万〜7万円)。国保以外の健康保険の場合も、「埋葬料」という名目でおおむね5万円支給されます。支給金額を差し引くと、最低3万円で実現できるわけです。

 個人ではハードルの高い火葬場の予約ですが、公営の火葬場なら電話で相談に乗ってくれるでしょう。手間こそはかかりますが、そのほうがありきたりの葬儀ではなく、心から故人を見送れると思います。

お布施・戒名料の相場は最低でも40万円

 葬儀社のセットプランに入っていないのは食事代だけではありません。喪主を悩ませるのは、僧侶のお布施・戒名料です。

 これも難しい問題です。もし「お経なんていらない。お布施を払いたくない」というなら、菩提寺と縁を切らなければなりません。先祖代々のお墓があるなら自分の代で多額の費用がかかる墓じまいをしなければなりません。

 私の場合は、父の昔の実家近くのお寺に電話をしました。会ったこともない住職に経緯を説明し「お布施・戒名料すべて込みで25万円でお願いしたい」と頼み込みました。住職はしぶしぶといった感じでやっと首を縦にふってくれました。お墓は生前の父が公営の霊園に建てていたものを使っています。

 この本にも書きましたが、お布施・戒名料を合わせると40万〜100万円が相場です。そんな知識すらない自分だったので、強気に交渉しましたが、気の弱い方なら言われたままの額を払ってしまうでしょう。

 家族葬、直葬(通夜や告別式を行わず火葬のみを行う葬儀)が増え、お葬式の単価が下がってきたというデータがあるにしても、やはり通常の葬儀をして、お坊さんを呼ぶと100万〜200万円は必要なのです。