私が今回のご相談で何より心配だったのは、年子のお嬢さん2人のことでした。

「お子さんには手上げてしまうことありますか?」

「子どもは本当にかわいいんです。大きな声で叱ってしまうことはありますが、子どもに手を上げたことはありません」

 これを聞いて少しほっとした私は続けて尋ねました。

「お嬢さんお2人についてですが、保育園や幼稚園で忘れ物が多かったり、時間などの約束を守れなかったり、ぼーっとしていることが多いなどといったことを、園の先生から指摘されたことないですか?」

「それって何か関係あるんですか? うちの子2人はもともとぼーっとしてるタイプだとは思うのですが……」

 子どもの忘れ物や時間を守れなくなるといった症状は、両親のけんかで心が傷ついている子ども、家庭環境にやや問題が潜んでいるといった場合に見られることが多いのです。

 心の核となる人格は「4歳までに完成する」といわれていますから、この幼少期の心の成長時期というのはとても重要な時期になります。

 子どもの精神衛生上も考えるとなんとかしなくてはいけません。

「よいメンタルクリニック」とは?

 まずは1度心理療法士がいるメンタルクリニックに行くように勧めました。

 要らぬ妄想をして暴力を振るってしまうといった認知の歪みもさることながら、睡眠がとれず食も細くなってしまっている状態では、脳のパフォーマンスが悪くなって余計にイライラや不安が強くなりますし、里美さん自身のカラダも明らかに悪化してしまいます。

 薬に抵抗がある方も多いかと思いますが、ケミカルな向精神薬ばかりでなく、癇癪(かんしゃく)を抑えたり、イライラや不安などを沈める漢方薬もあります。精神薬をバンバン出すようなところではなく、漢方なども上手に組み込んで、かつ体調や副作用の様子も見ながら最小限に薬を処方してくれる先生もいますので、できれば口コミなどを見てそういった先生のいるクリニックを探されるといいです。

 もちろん、カウンセラーや心理療法士がいる専門クリニックでしたらなおのことよろしいかと思います。

 そして、次に提案したのは、「ご主人と距離を置くこと」です。

 同じスペース、つまり同じ家、同じ空間にいるというだけで、「私物化」という意識が芽生えてきてしまうものです。同じ空間で生活していると嫌でも目に飛び込んでくるものもあります。