完全に自分を過信していました

西川「もともと子どもが欲しいという気持ちはありました?」

益子「いえ、なかったんです。ただ、主人もアスリートなので、彼の子どもの顔が見たい、という気持ちがふつふつと湧き上がってきまして

 2006年に結婚した相手は、プロの自転車ロードレーサー、山本雅道選手。ひと回り年下、益子自身もアスリートで身体を鍛えているということで、子どもを授かることは難しいことではない、と思っていたのだが──

西川「本格的に不妊治療に取り組まれるまで、2年くらい様子をみられていますよね? このときは自然にできると思われていたんですね」

益子「42歳で不妊治療を開始したと話してきましたが、実はその時期に、1年間くらい妊活のために婦人科に通院していました。でも知識もなく、完全に自分を過信していましたね。友達や周囲の人にも“スポーツをやっていたのだから大丈夫でしょう”と言われてましたし。何となく、大丈夫かな、と」

西川「もちろん、40歳を越えてからお子さんを授かる方もたくさんいます。2017年だと、40歳以上で出産された方は5万人以上もいらっしゃるんです

益子「え、そんなに?」

西川2018年に生まれてきた子どもの、5%くらいの母親が40歳を越えていますし、45歳を越えて出産した子どもは1500人くらいいますね

益子「私、最初に行った病院で“40歳過ぎてからの出産にはあまり賛成できない”と先生に言われたんです」

西川一般の婦人科と不妊専門のクリニックとでは考え方は全然違うと思います。ましてや、益子さんが治療に取り組もうとしたのは10年くらい前ですよね。

 今なら妊娠を阻害している原因を探し出し、残っている卵子の数やその質、年齢を考えてタイミング法でいくか、人工授精にするのか、体外受精という技術を選ぶのか。選択肢がいろいろありますけど、当時はそういった治療の流れが、なかなか確立されていないときだったかもしれませんね」