刺激的なのは「一時的な出会い」

 では、これまでに「愛してはいけない人を愛してしまった」という経験は?

「“愛してしまった”というのはないですけど、そういう人に惹かれてしまうというのは、男にはよくあることかもしれないですね。友達が連れてきた彼女がすごく魅力的に見えるとか。

 人を好きになるときに、ハードルがあってこそ、みたいなところはありますね。より燃える、的な(笑)。例えば、常に勤め先が一緒とかいうのじゃなくて、そのときだけの、一時的な出会いのほうが刺激されます。この仕事なんて、本当にそうですよ。現場で会ってもワンクールで終わっちゃうので。……って、何の話ですか!(笑)」

 韓国で俳優デビュー後、12年も韓国で活躍した大谷さん。もっと早く日本に拠点を移そうと思うこともあったのでしょうか?

“いつか日本で活動したい”という思いはありましたが、自分からどうこうするということはありませんでした。あまり自発的に動くと、いいことがないんです、僕は。

 そうしようと思っても自分から動くとうまく回らなかったものが、その後、偶然の縁でうまくカバーリングされる。その繰り返しでしたから。自分にいちばんいい道を進ませようと考えてくれる、プロの選択に委ねています。

 それが結果的にはよかった。もしかしたら、これは大きな振りで、最後にすごいオチが待っていたりしてね(笑)。そういう冗談を言われるくらい、僕は縁に恵まれているんですよ」

 今年は40歳を迎える年ですが、何か感じることは?

「どうだろう。僕は気持ちが若いというか全然、大人になりきれていないんです。やっぱり同世代が結婚して家庭を持つ人が多くなってきたので、より一層そう思うのかもしれないですね。

 家族を持って大黒柱として生きている人たちの話を聞くと“一歩先、二歩先を行っているな”と感じることがあって。漠然とですが、いつかは僕も“守るべき家族を持ちたい”という気持ちはあります

 初めての舞台に立ち、大人の恋愛を演じることで、また変化がありそうですね。

「この公演が終わるころには、いろいろ感じているでしょうね。これまでいろいろな映像をやらせてもらってきて、いま舞台という新しいジャンルに挑戦する中で、自分がそのときどういう思いになるのかということは、僕にとっていちばんの楽しみです。

 学生時代にずっとバレーボールをやってきたから、準備を重ねて試行錯誤をしたうえで“さあ、本番です”というのは、大好きではあるんですよ。

 だから、そのとき、自分がバレーボールで経験したようなものを感じられたら、自分にとってすごい財産になるだろうな。そこは本当に期待して、ワクワクしています


おおたに・りょうへい 1980年10月1日生まれ、大阪府出身。日本でモデルの仕事を始めてすぐ、2003年に韓国でダンキンドーナツのCMに起用され、韓国を拠点にモデル・俳優として活躍。2016年より日本でも活動をスタート。ドラマ『ラヴソング』や『逃げるは恥だが役に立つ』で“逆輸入俳優”としてブレイクする。その後、連続テレビ小説『まんぷく』やドラマ『ノーサイド・ゲーム』、映画『焼肉ドラゴン』などに出演。最新映画『仮面病棟』が3月より公開予定。

ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版

ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版 (c)ミュージカルTHEBODYGUARD2020日本公演 実行委員会
ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版 (c)ミュージカルTHEBODYGUARD2020日本公演 実行委員会

 '92年に世界中で大ヒットした映画を、あの『I will Always Love You』など映画で使用された曲だけでなく、ホイットニー・ヒューストンのヒットナンバーをふんだんに使い、ロンドンの一流スタッフがミュージカル化。世界で熱狂を呼んだ本作が、新演出で日本キャストによって生まれ変わる。大阪は3月19日~29日 梅田芸術劇場メインホール、東京は4月3日~19日 東急シアターオーブにて上演。詳しい情報は公式サイト(http://bodyguardmusical.jp)で確認できる。

取材・文/若林ゆり