騒動から4か月、芸能活動を自粛していたチュートリアル徳井義実が活動を再開することが発表された。

 昨年10月、7年間で約1億2000万円の申告漏れと、2000万円の所得隠しを東京国税局から指摘され、会見では、自身のルーズさが原因だったと説明したが、世間の反応は厳しいものだった。すでに修正申告などすべての手続きは済ませているというが、『確定申告』の時期に活動再開を発表するとは何とも皮肉なことだ。

 突然の発表が、会見でもなく、スポーツ新聞でもなく、ネットニュースを通して行われたことは驚きだった。

吉本と徳井が選んだ発表方法

 各メディアがこぞって徳井の活動再開を記事にするその直前、実に興味深いインタビュー記事が『ヤフーニュース』に掲載された。

《騒動の核心、相方への思い。徳井義実「何もかもお話しします」》

 この記事は“芸能ジャーナリスト”の中西正男氏が徳井にインタビュー取材をするかたちをとり、騒動の顛末や謹慎中の生活、相方への思い、現在の心境などが淡々と綴られたもの。記事に挿入された写真は、憔悴して一気に老けこんだように見える徳井が、苦渋の表情を浮かべて心情を吐露している姿。その写真と相まって彼の反省の深さが伝わってきたのだった。

 また特筆すべき点は、この記事の構成に『ヤフーニュース編集部』が直接関わっていることだ。このインタビュー記事の文末には、

《この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです》

 と但(ただ)し書きがついており、各媒体社が配信する多くの記事とは様子が違い、コメント欄が閉じられている(今回に限らず、ヤフーニュース編集部が構成した記事は基本的にコメントができないようになっている)。つまり、ネットニュースにありがちな「読者のツッコミ」が書き込めない仕組みになっているのだ。だから、否定的なコメントもつくことがない。

 これによりバッシングの声を封殺することに成功しており、“叩かれていない”といった印象を与えられる。また、変にほかのユーザーの意見に引っ張られることもなく、記事を読んだ人は自分だけの感覚で徳井の発言を受け止めることになる。徳井の深い反省ぶりが伝わることで、「もう許してあげよう」という気持ちになりやすいのではないだろうか。

 さらに、この手法の“利点”はそれだけに止まらず、

 本来であれば、復帰といえば「会見開いて、それをスポーツ紙などが記事にする」というプロセスを踏むのが定石であるが、今回の場合は、媒体のフィルターや色眼鏡を通すことなく、“自分の言葉”だけを直接届けることができるという仕組みなのだ。これで、憶測を含んだ、いわゆる“意図しない方向に記事が転ぶ”可能性が低いことも確かだ。

徳井さんの活動再開に関しては、賛否両論の声があるのはたしかです。特に徳井さんに関しては、まだまだ批判的な声が多く聞こえます。しかし、あの変わり果てた姿の写真と本当に誠心誠意詫びている言葉で、同情票が集まり、批判票が少なくなっているのは間違いないでしょう」(スポーツ紙記者)

 今の時代、芸能人がSNSなどで自らの情報を発信するのは当たり前の光景ではあるが、自らがスポーツ紙や週刊誌などで“独占告白”という方法をとらずに直接、最大手のネットニュースサイトにいきなり登場する、つまり、“ニュースにされる前に自分からニュースになりにいく”という新しい復帰のカタチではないか。

 今後、活動休止に追い込まれたタレントが、活動再開を円滑に進めるために、この方式を使うことが増えるのではーー。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。