認知症患者や高齢者への配慮

「喫煙者は肺が弱っている」と指摘する大阪国際がんセンターの田淵貴大医師は、

「インフルエンザもSARSもかかりやすいので、同じことが起きると考えられます」

 と喫煙者に警鐘を鳴らす。

「複数の人が狭い空間に入る喫煙所は特に危険。エアロゾル(気体中に浮遊する微小な粒子)を吸う新型タバコにも注意したい。新型コロナウイルスはエアロゾル感染するという話もあるくらいですから煙を介して感染する可能性もありうることだと思いますね。感染を恐れるなら禁煙しましょう」

 東京・品川のKARADA内科クリニックの佐藤昭裕医師が主張する対策は、高品質の眠りだ。

「免疫力を高めるためには、睡眠はうがいより大事。飲酒をすると眠りが浅くなり、睡眠の質が低下します」

 以上、持病や生活習慣病と新型ウイルスの関係を見てきたが、さらにリスクとして考えなければいけないことは、認知症患者や見守りが必要な高齢者世帯に対する配慮である。

 前出・星野院長は、

「認知症の人は自分で予防ができない人も少なくない。大切なことは、新型コロナウイルスを家の中に持ち込まないこと。在宅で医療を受けていれば積極的に外には出ないので、外から持ち込まなければ感染のリスクは低い」

 と家族や介護サービススタッフなどの行動に期待する。

 訪問診療に詳しい神奈川・横浜の福澤クリニックの福澤邦康院長も、

「外出時にはマスクやゴーグルをつけ、帰宅したらまず玄関で手の消毒をしてから家に入り、落ち着いて手洗いをするのも持ち込まないための手段。認知症の方や寝たきりの人にうつすリスクは減ります」

 と基本衛生の順守を訴える。

「感染しても全員が肺炎になるわけではない」(前出・渡邉副所長)という新型コロナウイルス。暖かくなる4月になれば終息に向かうという専門家の見方もあるが、誰も終わりをはっきりと断言できない。

 慌てることなく、怯えることなく、睡眠に栄養にアルコール消毒にマスク着用、持病のコントロール。それが猛威に立ち向かう手立てだ。