『キャッツ』『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキング』の作詞を手がけたティム・ライス。

 ミュージカル界の両巨匠が学生時代に初めてタッグを組んだ伝説のミュージカル『ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』が、初めて日本人キャスト版で上演される。この話題作に出演する実力派ミュージカル俳優・小西遼生さんに、作品の見どころやミュージカルの魅力について聞いた。

王道作品とは異なる“楽曲の幅広さ”

「王道ミュージカルを数多く作っているアンドリュー・ロイド=ウェバーさんとティム・ライスさんが、初期にこんな作品を作っていたんだってところがすごいですよね。

 ロイド=ウェバー作品は日本でも人気がありますが、『キャッツ』『オペラ座の怪人』『エビータ』とか、そういう作品のイメージからは、まったく想像できないような作品。なので、彼の作品を知っている人ほど驚くと思います」

 今作は旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、波乱に満ちたジョセフの人生が全編音楽で綴(つづ)られる。兄弟に奴隷として売られたり、投獄されてしまったり、国王に仕えるようになったり……。

数奇な運命をたどるジョセフの人生を表すような、ロック、バラード、シャンソン、カントリー、ラテンなど、さまざまなジャンルの楽曲が演奏されるのが魅力。

「『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』のような、いわゆるミュージカルの場合は、音楽を紡いでひとつのストーリーを音楽に消化している感じですけど、これは本当にいろいろな音楽が詰め込まれている。

 “歌だけでやっちゃうんだ”って、ちょっと衝撃的でした。この作品は、すごく遊びごころがあって、学生時代のロイド=ウェバーさんとティムさんが初期の衝動でやりたいから作ったっていう感じがするので、そこが面白い。

 主人公のジョセフがすごく苦労する話なのに、それを吐露する曲も悲劇的なメロディーじゃなかったりするんですよね。踊り出すような曲だったりコミカルな曲だったり、悲劇も明るい音楽で表現する。ユニークでエンターテイメント性の高い作品だと思います」