「年だからしかたない」と、放っておくと、実は大きな病気が隠れていることも! セルフチェックで“手のふるえ”を診断してみよう。

“ふるえ”は加齢のせいじゃない

 字を書こうとすると手がふるえてしまう、コップをうまく口もとまで運べない、携帯電話やATMの操作がしにくい──。“手のふるえ”で困った経験はありませんか?

 50代から増えるといわれる“手のふるえ”は、単なる加齢現象では片づけられない症状なのです

「ふるえは、医学的には『振戦』と呼ばれており、自分の意思に反して生じるリズミカルな身体の動きのことを指します。原因は、生理的なものと病的なものに分けられます

 緊張したときや力仕事の後などに起きるものが生理的なふるえで、病的なふるえ(病的振戦)には本態性振戦やパーキンソン病といった神経疾患による振戦が挙げられます」(仲野先生)

 生理的振戦は、例えば寒いとき、感情の高ぶりや緊張によって起こるふるえなどで、誰にでも生じる正常なふるえであり心配はない。そのほか、甲状腺機能亢進症や低血糖といった疾患が隠れている場合があるので、そのような場合は要注意だ

「病的振戦は“ふるえ”が長期的、かつどういう状況で起きるかということにより分類されます。

 お箸で食べ物を口に運ぼうとしたときや、何かを書こうとしたとき、一定の姿勢を保とうとしたときなど、このような動作にともなって出現するのが『本態性振戦』といわれ、対して例えば、じっと座ってテレビを見ているときに手だけふるえるなど静止時にふるえが生じるタイプは『静止時振戦』といい、パーキンソン病(※)の特徴です。

 静止時の手のふるえがみられる場合は、早めに脳神経内科を受診して相談することをおすすめします」(仲野先生)

パーキンソン病……手のふるえや、身体が硬くなるなどの症状が少しずつ進行する病気。将来的に歩けなくなったり寝たきりになるおそれがあり、高齢者に多いが、若くして発症することも。