1986年『女が家を買うとき』(文藝春秋)での作家デビューから、72歳に至る現在まで、一貫して「ひとりの生き方」を書き続けてきた松原惇子さんが、これから来る“老後ひとりぼっち時代”の生き方を問う不定期連載です。

第18回
長生き時代、104歳男性の本音は

 日本の100歳以上の人は、2019年の厚生労働省調べで7万1238人と報告されている。49年連続で過去最高人数を更新しているといい、長生きは加速しているように見えるが、実際に100歳以上の方と暮らしたことのある人は、そんなに多くはないと思う。

 わたしたちは、有名人の100歳をテレビで見ることはあっても、身の回りで一般の100歳の人と接したことのある人はごく少数ではないだろうか。

 このわたしも同じで、近所のお婆さんは106歳で亡くなったというが、姿を見たことがないので、実感がわかない。100歳以上を生きている人は、どんな状態の中にいるのだろうか。おそらく、多くの方は介護施設で暮らしているにちがいない。

 日本政府は、国民が100歳まで生きることを前提に、働き方改革を打ち出しているが、永田町の人の頭がおかしいといわざるを得ない。言わせてもらうと、70歳過ぎて議員をやっているほうが異常だ。権力の味を知っているあなた方がやりたいのはわかるが、日本全体を考えたときは、若い人に譲るべきだ。ああ、若い人も政治に感心のない人ばかりでいやになる。諸外国では、おかしいと思うことはデモをして政府に抗議する。香港も韓国もフランスもそうだ。この話をしていると、頭に血がのぼり、倒れそうになるのでやめるが。

数か月で激しい衰えがくる、長生きの厳しさ

 人間は、医学などの発達で100歳まで生きられる肉体をもったが、それと、人間らしく生きることは違うと思う。マスコミで取り上げられる素敵な100歳もいらっしゃるが、申し訳ないが、一瞬、切り取れば素敵だが、100歳は100歳だ。変な夢を与えないでほしい。

 わたしの周りには88歳から93歳ぐらいで元気でいきいきと暮らしている方が多い。そんな方たちを見ていると、自分も90歳ぐらいまでは、いけそうな気がしてくるが、1年と言わず、3か月後に会うと、身体が小さくなり、めっきり弱くなっている姿を見せつけられ、厳しさを痛感させられる。

 90歳の人は、健康で元気だから90歳の山を越えられた。しかし、60歳の元気とは明らかに違い、衰え方は激しい。