一家心中を考えている事例が全国で何例も

 この春、立ち上げた政策提言組織『生存のためのコロナ対策ネットワーク』の共同代表を務める社会福祉士の藤田孝典さんは、次のように手順を示す。

「家賃の支払いが難しい場合は『住居確保給付金』か『緊急小口資金』の特例貸し付け、それでも厳しい方は『生活保護制度』の利用を促します。住居確保給付金は最低3か月、最大9か月の間、家賃を給付してくれるので、比較的使い勝手がいい。

 自治体の福祉課に行けば、自立相談窓口を紹介してくれるはずです。ただ、窓口が混んでいるので、支給まで時間がかかります。

 緊急小口資金の特例貸し付けは、最大20万円まで無利子無担保、保証人もなくて貸し付けますよという制度です。窓口は社会福祉協議会です」(下の表参照)

生活資金に困ったときの支援
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 金銭的な問題は、さまざまな支援制度が活用できるが、新型コロナウイルスは生活を壊すと同時に、生活者の心を壊している。

 自治体や国も、精神保健福祉センターなどで悩み相談を受け付けたり、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』で情報提供や健康相談を受け付けたりなどしている。 

 しかし心の問題は、前出・藤田さんのところにも持ち込まれるという。

「一家心中を考えている事例がありました。それも全国から何例もです。

 あるケースは、もともと、うつ病があって死にたいという気持ちが出てしまうお母さんだったんですが、これまで何とか踏ん張ってきたところ、中学生になる娘さんとケンカになってしまった。

 娘さんも多感な時期なので、何で母子家庭になったんだと責めてしまう。感染拡大しないためにずっと一緒に家にいるので、ケンカが絶えなくなる。お母さんも仕事がなく、両者ともうつうつとしてしまって、このままこの状況が続いたら娘に手をかけてしまうかもしれない、という相談でした」

社会福祉士で『生存のためのコロナ対策ネットワーク』共同代表を務める藤田孝典さん

 いつも以上に家族が密接することで、適度な距離を保てずに摩擦が生じることが増えている。

「心の悩みでいちばん重要なことは、話を聞いてあげることです。

『いのちの電話』とか『寄り添いホットライン』などといったサービスを活用して、まずは死にたくなるほどつらいという話を誰かに打ち明けて和らげてほしい。

 ただ、それらを運営するボランティア団体は予算が少なく、疲弊しています。コロナの問題の前から団体の高齢化は進んでいますし、これを機に見つめ直す必要があると思います」 

 前出・藤田さんはそのように提言する。