文楽が原作の狂言『仮名手本忠臣蔵』に、かつて市川海老蔵も演じたことがある早野勘平が、しみじみと悔やむ場面がある。

「色にふけったばっかりに」

 お笑いコンビ、アンジャッシュの渡部建(47)も今、そんな心境ではないだろうか。

食欲と性欲は我慢できない

 テレビ、ラジオのレギュラー番組が十数本、グルメタレントとして会員制サイトも主宰し、妻は女優の佐々木希(32)。2018年には第1子の男児が誕生している。

 イケメンで好感度抜群の渡部が、複数の一般人女性と不倫していることが報じられ、先手を打つ形で所属事務所はレギュラー番組の出演自粛に踏み切った。

 一挙の転落。

 ふと、ダブルのは、つい先日、賭けマージャンが暴かれたばかりに辞職に追い込まれた元東京高検の黒川弘務検事長(63)だ。

 “見つかればすべて失う”とわかっていながらの、片やギャンブル、片や不倫

 芸能界の不倫騒動でも、俳優の東出昌大(32)が世間のバッシングを浴びたばかり。東出の不倫騒動が明らかになった段階で、すでに渡部は不倫に足を踏み入れていた。引き返すことはできないとしても、その段階で立ち止まることはできたはずである。だが渡部は、そうはしなかった。料理であれば、一度食べてしまった美食は、また食べたくなるものである。

 ちなみに東出の妻の杏(34)と佐々木は同じ芸能事務所に所属している。ホームページでは、隣りあわせで写真が掲載されている。因果だ。

 黒川元検事長をめぐっては、ギャンブル依存症という言葉が、メディアに取りざたされた。以前、バラエティーの放送作家から、渡部に関して「食欲と性欲は我慢できない。自分は両方とも強いと言っていた」という話を聞いたことがある。

 佐々木という妻がいて、かわいい盛りの子どもがいて、それでいながらほかの女性との色にふけってしまう渡部の体質。しかも、カラダの関係だけを求め、コトが終われば“はい、サヨナラ”を繰り返す。放送作家の発言から何かを導くことはできないが、もし渡部が性依存症であればそれは間違いなく病気であり、アルコール依存症やギャンブル依存症同様、治療を要する。

 性依存症でないとしても、すべてを失うとわかっていながら身を引けなかった体質は、ギャンブル依存症に近い。もし何があってもバレないと踏んでいたとしたら、問題外だ。

 女性にも圧倒的に支持されている妻がいながらの不倫は、女性全体を敵に回したに等しい。「佐々木希がいながらどうして?」という世論は、好感度に裏付けされた司会業、美食リポーターなどの仕事の足かせになる。振りほどくことができるのか。

 歌舞伎の舞台や花道の下には、奈落がぽっかりと口を開けている。広辞苑によれば、奈落の底は【地獄の底】【深くてそこの知れぬ所】【永久に浮かぶ瀬のないところ】を意味する。渡部の心境は、まさに今、奈落の底にいる気分ではないだろうか。

「色にふけったばっかりに」渡部が失ったものは、取り返しがつかないくらい大きい。

<取材・文/薮入うらら>