映像からみるプリンちゃんへの負担

プリンちゃんのショーでの縄跳び芸の映像を見ましたが、プリンちゃんはワンピースを着せられて、後ろ足2本で立っています。トレーナーである宮沢厚園長がプリンちゃんの手をつかみ、プリンちゃんの興味がそれて少しフラフラし始めると、手をビクンと引っ張って2足でまっすぐに立たせます。

 プリンちゃんもチンパンジーですから、普段は4足歩行ですが、ショーのときにはこのように“2足で立つ”ことを強要されるということです。これだけでも、ある程度の負担がかかった状態だと言えるでしょう

 営業再開後の縄跳びショーでは、プリンちゃんは大縄を20回ほど飛んでいる。

「当然ですが、野生のチンパンジーは縄跳びをしません。縄跳びも2本足でくり返し飛ぶことは不自然な行動です。プリンちゃんも自分から進んで縄跳びをやっているようには見えません。

 遊びで楽しんでやっているなら、“play face”と呼ばれる遊びのときの笑顔を見せてもおかしくありませんが、そういう表情は見られません。芸として調教され、やらされているだけだと言っていいでしょう」(松阪さん)

人間であれば、強要されるようなことがない限り、縄跳びは“遊び”だろう。

「人間の子どもなら、うまく跳べるように自らの意思でチャレンジし、成功したら達成感を得て笑顔も見せるでしょう。しかし、プリンちゃんはそのような楽しさを感じることができていないようです。縄跳びに成功しても、プリンちゃんはうれしそうな様子を見せません。

 プリンちゃんをまるで人間の子どものように思って見ている人もいるようですが、人間の子どもが縄跳びをするのとはまったく異なる状況であることに注意してほしいと思います」(松阪さん)

 冒頭にある西日本新聞熊本版の報道によると、プリンちゃんは《当初、あまり興味を示さなかったが、職員らが楽しそうに跳ぶ姿を見ているうち、跳べるようになった》そうだ。また《約50日間の休業中にみっちり練習してきた》という。