持続化給付金をもう一度、出してほしい

 ライヴが出来ないことで被る損害は、そうやって諸々とても大きいんだと浜田さんは言う。

「私は自分でレーベルを少し前に立ち上げました。ライヴCDを制作して、さぁ、これからライヴ会場で売って歩くぞ! と計画していました。今やCDは手売りに負うところが多く、ミュージシャンはみんなライヴ会場でCDやタオルやTシャツを売ります。通販でそういうものをお客さんが買うか? というと、それはやはり難しくて、ライヴ会場でのお土産感覚なんです」

 さらに浜田さんが心配するのは、ステージに立てないことでミュージシャンとしてのテクニックが落ちることだ。

「自分のパフォーマンスが、落ちてやしないか? と心配になります。ミュージシャンはちょっとアスリートみたいなところがあって、続けていないと勘が鈍るっていうんですか。ステージに立たないでいると、キープしていたものを、また最初からやり直さなきゃならないんです」

 それ、廣瀬さんも「うちの夫はドラマー。なかなか家では練習が難しい。ミュージシャンはステージに立つことそのものが練習でもあるんです」と言っていた。ミュージシャンの生活だけじゃない。このままだと、日本の音楽文化そのものが崩壊する危機にある。

持続化給付金だけじゃなく、文化庁の文化芸術活動継続支援事業などもあって私も申請しましたが、これも何か新しい活動を始める芸術家へ経費の2/3を補助しますよ、というもので、正直みんな、いま凹んでるときに頑張って企画を考えて出すって大変です。友達のミュージシャンが言ってたんですが、150万円申請したけど返事がなかなか来ない。でも活動を始める期限は目の前で、始めてみたものの申請が却下されたらどうしよう? って。もう、ほんと、どうしようもないんですよね」(浜田さん)

 スガナミユウさんも廣瀬さんも「何か新しいことをやるからそこに補助金を出します! ではなく、持続化給付金をもう一度出してほしい」と言っている。

ライヴハウスや劇場が多い、東京・下北沢(筆者撮影)
ライヴハウスや劇場が多い、東京・下北沢(筆者撮影)

 文化庁の補助金は自己負担ありきで、すでに困窮して弱っているミュージシャンやライヴハウスを助けられていない。総予算509億円なのに、現時点で申請があり、認められた件数は約8000、28億円止まりで、実態に合わない制度だ。持続化給付金なら仕事と生活が密接につながるフリーランスにとって、今すぐ助けになる。命が救われる補償が必要とされている。

 もちろん、ミュージシャンもライヴハウスもただ手をこまねいているだけではない。みな、4月からすぐにライヴ配信を行っているのはご存知の通り。

 東京・千駄木で「Bar Isshee」を経営するイッシーさんは、

「うちは3月28日がお客さんを入れた最後のライヴでした。それで5月から8月まで10数本のライヴ配信をやりましたが、東日本大震災のときにもライヴ配信をやっていて、ノウハウを持った人とつながっています。配信も固定カメラでただ演者を映してるだけでは飽きられる。そうではない映像を作れる人にお願いして、『映像が素晴らしい』と好評をいただいていますが、自分で機材を買っていちから始めるライヴハウスは大変だと思います」と言う。