その後、盗聴データが森アナ、池谷アナの会話であることを2人は認め、スタッフや先輩アナに謝罪しているようだが、気になるのは誰が盗聴器を仕掛けたか、ということ。

 犯人がどういう意図で盗聴したかは不明だが、それを公開することで、2人の女子アナを陥れようとしたのは明確だ。そもそも社内で、盗聴行為があったことこそ恐ろしい事態。盗聴犯には、どんな罪が課されるのだろうか。

 今回の“盗聴事件”について、弁護士法人・響の坂口香澄弁護士に聞いてみた。

――そもそも、盗聴はどのような犯罪になるのか

「意外に思われると思いますが、盗聴自体は犯罪として規定されていません。ただし、盗聴に付随する行為が犯罪にあたることが多くあります。今回の場合、盗聴器を設置するという正当でない目的で、部外者がテレビ東京の建物に立ち入ることは、建造物侵入罪が成立する可能性があります。

 また、今回アップロードされた内容からは明らかではありませんが、仮にこの盗聴の内容にテレビ局内の会議などの営業秘密が含まれていた場合には、不正競争防止法上の営業秘密侵害罪にあたる可能性があります」

――建造物侵入罪が成立する場合どんな刑罰を受けるのか

建造物侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法130条)です。
営業秘密侵害罪の法定刑は10年以下の懲役若しくは2000万円以下の罰金(不正競争防止法21条1項)です

――盗聴した音声データをSNSにアップロードする行為は犯罪にあたるのか

今回のアップロードは、テレビ局所属のアナウンサーの人気を貶める目的で公開されたものとおもわれるので、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。また、犯罪ではありませんが、プライバシー権の侵害として民事上の不法行為責任(損害賠償)を問われる可能性はあります

――偽計業務妨害罪が成立する場合、どんな刑罰を受けるのか

偽計業務妨害罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(刑法233条)

 先月24日、テレビ東京の定例社長会見で石川一郎社長は「この問題に関しては、我々としては社員を守る観点から警察に相談しているところ。それ以上のことに関しては、この場で言及することは控えたいと思います」と話した。

 現在そのアカウント削除され、森・池谷アナもこれまでのように番組に出演している。はたしてテレ東のアナウンサーたちにはどんな空気が流れているのだろうか……。