痛くないマンモAI検査も登場

 ドゥイブス・サーチ以外にも、痛くない乳がん検査の開発は進んでいる。

 神戸大学の研究チームは昨年9月、微弱なマイクロ波を患部に当てる『マイクロ波マンモグラフィー』の開発に成功したと発表。通常のマンモグラフィーと違い、乳房を圧迫することなく、検査器具を乳房の形に沿ってなぞることでがん細胞を発見できるそうだ。被ばくの心配もなく、0・5ミリ程度の腫瘍も発見できる精度だという。

 また、広島大学の研究チームも、微弱電波を使った携帯型の乳がん検診装置を開発。あおむけに寝た状態で、お椀型の装置を乳房にかぶせて電波を当てると、がんの位置を見つけることができるというもの。実用化に向けてさらなる研究が進められている。

 前出・村上さんは、「MRIに関しては、AI(人工知能)を併用していく開発が進められていて、これが実用化されれば、がんの見落としが劇的に減るはず」と期待を込める。人間の目だけでチェックするには限界があり、担当医師の熟練度も、がんの発見に関係するからだ。過去に撮影されたデータを蓄積したAIが、がんの兆候を検出・判定できるようになれば、医師にかかる負担を減らせるかもしれない。

「すべてAIに任せるということではなく、あくまで医師とのダブルチェック体制を作ることができれば、精度もより高まるでしょう。2〜3年以内に実用化されると考えています」(村上さん)

 新たな乳がん検査の開発に期待がかかるが、「国が認めている対策型検診では、高濃度乳房で効果が低いことと放射線被ばくの影響をなるべく避けるため、40歳未満の方のマンモグラフィー検査の受診は推奨していません。このため30歳くらいで1度、ドゥイブス・サーチで自分の乳房がどうなのかを知っておくといいと思います」と高原医師。

 村上さんは「あくまで検診を受けるのは40代以上であることが前提です」としながらも、乳がん検診を受けたほうがいい人について、次のように指摘する。

「乳がんになりやすい人の傾向として医学的な統計から明らかになっているのは、未婚の人、出産経験がない人、初経が11歳以前の人、それから閉経が55歳以降の人といわれています。

 これは理由がはっきりしていて、乳がんの発症にはエストロゲンという女性ホルモンが深く関係しているから。エストロゲンが分泌されている期間が長ければ長いほど、リスクが高まります

 ほかにも、ピルの服用期間が長い人は乳がんにかかりやすいとされている。