両親が言葉少なめに語ったこと

 週刊女性が聞き込みを続けると、伊藤の両親についても話が聞こえてきた。

健太郎くんのお父さんは不動産鑑定士の資格を持って、地元で商売をしています。お母さんはもともと伊勢で真珠を扱う家業だったようで、こちらでも宝石の販売や、健太郎くんの9歳上のお姉さんと一緒にネイルサロンもやっていました。

 お母さんは気が強い人で、自宅の前の家が建設中のときは“ウルサイ!”って怒鳴りに行ったこともありました。それでも健太郎くんを小学校から私立に通わせていたくらい教育熱心で、両親ともに大学までは行かせたいと言っていました」(実家の近所に住む主婦)

 ただ、伊藤は高校を卒業する前後から、役者として注目されるようになった。

小さいころからモデルのようなことはやっていましたけど、芸能界で急に人気になったので、お母さんは彼が調子に乗らないか心配していたこともあったんです。でも、近所では“ウチの子は売れているのよ”なんてうれしそうに自慢もしていました」(実家の近所に住む別の主婦)

 11月上旬、実家に帰ってきた父親に声をかけると、

どうも、すみません

 こちらを見ることなく、ひと言だけを残して玄関の中へ。続けて声をかけるも反応はなかった。

 別の日、自宅から出てきた母親にも声をかけた。いったんは足を止めて記者の名刺を受け取ったが、その姿は見るからに憔悴しきっていた。

本当にもう、何を言ったらいいのか……被害者の方のご無事を願うばかりで、申し訳ございません

 そう言うと深々と頭を下げ、最寄り駅のほうへと歩いていった。

 多くの人に多大な迷惑をかけた伊藤。

 その償いには時間がかかりそうだ。