家族との集まりはどうすればいい?

 家族が集まる席でも、コロナの冬は平時のようにはいかない。村上さんによると、

「その場に高齢者がいるなら短時間の滞在にとどめて。もし自分が感染してウイルスが排出されたとしても、接触時間が短ければ相手は感染を免れる可能性があるからです」

 移動手段の選び方次第で外から家の中にコロナを持ち込むリスクは下げられる。

「新幹線は指定席をネットで予約するときに、車両の混み具合を事前に確認できます。前もって調べておくといいでしょう」(前出・植田さん)

 だが、すいている席に座っても油断はできない。

「JALと理化学研究所の共同研究によれば、リクライニングシートを使用した状態では飛沫が前後左右の座席に多く飛びやすいことがわかっています。機内や新幹線の車内ではリクライニングは避けて、マスクも常に着用を」

 と、植田さん。外出先では飛沫が飛びやすい方向にも意識を向けたい。

「エレベーターに乗るときはほかの人たちと向き合う状態にならないよう注意。会話も控えましょう」

インフルワクチンがコロナ対策になる理由

 家庭内感染のほか、第3波にはもう1つの特徴がある。

第1波、第2波に比べ無症状感染者が増加しています。家庭内感染が続出しているのは、そのためでしょう。若い人は感染してもほとんど症状が出ません。実際、アメリカの『ニューイングランド医学誌』に発表された研究報告で、米海兵隊への調査の結果、無症状感染者を介して感染拡大したことがわかっています」

 そう指摘するのは、内科医で、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さん。無症状感染者からの家庭内感染を防ぐには、PCR検査体制の拡充が必要と警鐘を鳴らす。

「帰省や家族で集まる予定のある人、あるいは高齢者や赤ちゃんのいる家庭の方、受験生を抱えるお母さんなどは、症状がなくてもPCR検査を受けておいたほうがいい。3000円程度で受検できる民間の検査機関が各地に登場しています。1週間の間に2回受けて、両方とも陰性なら、まず問題ありません」(上さん・以下同)

 ほかにも、意外だけど有効な方法がある。

「インフルエンザワクチンはコロナにもかかりにくくなるという研究報告があります。両者の症状は似ているうえ同時感染するおそれもあるので、接種しておくことをおすすめします」

■「コロナの冬」を乗り切る10のポイント
(1)不織布マスクがベスト。はずしたらそのつど、つけ替える (2)マスクをつける前も、はずしたときも、そのつど手を洗う (3)歯ブラシは常にキャップをつけておく (4)トイレはふたを閉めて流す (5)入浴の順番は、高齢者や持病のある人から (6)うがいや歯磨きの飛沫は感染リスクに (7)家族と同室で寝るときは「川の字」になるのを避ける (8)エレベーターに乗るときは向き合った状態を避ける (9)飛行機や新幹線に乗るときはリクライニングを使用しない (10)インフルエンザワクチンはコロナ対策になるので接種する