また、『バナナマンのせっかくグルメ』には、もう1つ「底抜けの明るさ」という武器がある。全国各地を旅して名物料理を食べるバナナマン・日村勇紀は、他番組出演時をはるかに上回る“明るく、元気で、感じよく、かわいらしいキャラクター”を徹底。それを見守る相方・設楽統などのスタジオメンバーも日村に近いハイテンションのため、視聴者を明るく元気にしてしまうような魅力がある。

 初めての大晦日放送だけに、「裏番組からどれだけ視聴者を引っ張ってこられるか」は未知数だが、「一度引きつけてしまえば、ズルズルと長い時間見せられる」という可能性を持った番組と言えるだろう。

紅白歌合戦の出来が
民放に影響を及ぼす

 では、『笑ってはいけない』の視聴率民放1位が危ういかと言えば、それはほぼないだろう。同番組が初めて大晦日に放送されたのは2006年だが、世帯視聴率は10.2%に過ぎなかった。そこから毎年放送することでジワジワと数字を上げ、現在は10%台中盤に定着している。今年は渡部建の出演騒動でミソをつけたが、唯一のお笑い系である上に、これほどの長い歴史を持つ番組が急に視聴率を落とすことはまず考えづらい。

 一方、他番組は前述したように、特定の視聴者層を狙い撃ちした安全策であるため、世帯視聴率は「1桁台が濃厚で、よくてギリギリ2桁」といったところではないか。だからこそ視聴者層を限定せず、しかも「グルメ」という普遍的な人間の欲を押し出した『バナナマンのせっかくグルメ』の結果が気になってしまう。

 その結果を左右しそうなのは、民放の裏番組ではなく『紅白歌合戦』にほかならない。たとえば、桑田佳祐、松任谷由実、北島三郎らがステージにそろい踏みした2018年のような盛り上がりがあると番組を見続けるため、『バナナマンのせっかくグルメ』は厳しくなるだろう。しかし、近年は演出過多が批判されているだけに、今年も繰り返されるようであれば、チャンスが増えるのかもしれない。

 最後に1つあげておきたいのは、活動休止目前の嵐が行う配信ライブ。これが「テレビ番組の視聴にどれくらいの影響を及ぼすか」と注目を集めているのだ。嵐だけでなく、YouTubeやInstagramなどを含めて独自の配信ライブを行う芸能人も少なくないだけに、人々がどんなものを選んで見るのか興味深い。

木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)
 ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。