〈まとめ〉治療はリハビリと両輪で

【外科療法】脳を刺激するデバイス補助療法

 脳の深部に手術で電線を挿入し、その電線で弱い電気信号を送って脳を刺激する方法(脳深部刺激療法)。薬だけでは症状を改善するのが難しい、薬の効く時間がどんどん短くなってくる、といった場合に検討される方法。特殊な技術を要するため、限られた病院で実施されている。

【服薬】ドーパミンを薬で補う

 運動機能に関する症状を改善するため、ドーパミンの働きを補う薬を中心に服用する。飲み薬のほか、症状によっては貼り薬や自己注射を使うことも。アメリカではオフになったときにとっさに口にできる舌下薬が開発されている。

【経腸療法】腸から直接薬を入れるデバイス補助療法

 専用ポンプをお腹に取りつけ、チューブを使って薬剤を腸へ直接、持続的に送り届ける方法。薬剤の吸収部位である小腸に直接送り届けることで安定した吸収が可能となる。飲み薬や貼り薬では十分な効果が発揮できなくなり、日常生活を送ることが難しくなった場合に使う。

 現在、研究開発が進んでいるのが、iPS細胞を使った治療法。iPS細胞からドーパミンを出す神経細胞を作成し、患者の脳内に移植するというものです。パーキンソン病を「治せる」ようになるのではないかと期待されています。(霜田先生)

パーキンソン病の悪化を防ぐ4大アクション

●自分のことは自分で!
 家族が心配のあまり、「危ないから」となんでもかんでもサポートしていると、筋力が衰え、症状がどんどん進んでしまう。自分のことはできるだけ自分でやることが大切。

●働き続け、趣味を持つ
「定年まで働き続けたい」「趣味を極めたい」と強い気持ちを持っていると、日々の行動も活発になる。それが症状の進行を遅らせることにつながる。

●旅行など楽しい目標を
「毎年必ず家族旅行!」などと楽しい目標を持つことで、その目標を達成するためにリハビリなどの治療も頑張れる。

●毎日動き、筋肉をつける
意識して運動をしないと、運動不足から筋肉や関節が衰えがち。罹患初期から運動を習慣にしたい。ただし、ケガなどしないよう、医師からアドバイスをもらうこと。

※参考/パーキンソンスマイル.net

(取材・文/鷺島鈴香)

《PROFILE》
霜田里絵 ◎銀座内科・神経内科クリニック院長。順天堂大学医学部大学院にてパーキンソン病の研究で医学博士号取得。脳を専門とする脳神経内科医として活躍。著書に『「美人脳」のつくりかた』(マガジンハウス)、『絶対ボケない頭をつくる!』(学研パブリッシング)など。