体罰は“魂のぶつかり合い”

 体罰を容認するような発言もあった。

《体罰は悪だと一方的に決めつけるのではなく、このままいくと道を踏み外すかもしれないという子供には、親が先生が鬼気迫る形相でやむにやまれず手をあげることもあるだろう。そこには人間同士の魂と魂のぶつかり合いがある》(2019年7月4日)

 また、オリンピックは国際的なプロジェクトであるからこそ、“他国が絡む発言”も掘り起こされてしまった。

 2019年に韓国の歴史教育における日本の植民地支配に関する定説を次々と否定した『反日種族主義』を読み、

《よくぞまぁ韓国の学者が、それも李承晩学堂の校長がこんな本を出版したものだと感心する。日本人が同じ内容の本を書いても信憑性を疑われるが韓国の博士が入念に調査実証した上での著作だけに反論するのは難しいはず。日本にとってこれ程有難い歴史書はない》(2019年12月6日)

 あくまで私見を述べたにすぎないのだが、“次期会長”ともなればこういった意見もネガティブに取り上げられてしまったのだろう。うがった解釈をされかねない文言を発信してしまう“発言の軽さ”がそこにあった。

 このような問題発言ともとれる過去が次々とネット上で表面化した背景に、国民の反感があることは間違いないだろう。森氏は川淵氏を自宅に呼びつけて後任を要請したという。

国民の反感の中心には“結局なにも変わらない”というのが根本にあるのではないでしょうか。今回、川淵さんが就任することに政府が難色を示したのも、そういった世論を無視できなかった部分も大きいはずです。どうせなら組織をガラッと変え、新陳代謝がなされたところを世界にみせてほしいと思いますね」(前出・全国紙記者)

 話は振り出しに戻ったわけだが、世界がコロナ禍のなか、いったい日本はどこに向かうのか──。