評価を気にしないから忖度なし!

 1月29日放送で、あおり運転が話題になると、「あおる奴らはヨガをやれ!」と強い口調で提言した。見ていて「えっ?」と戸惑ったが、一茂によると「あおる奴らってのは精神的に余裕がなく、不安だから、あおる!」からなんだそうだ。

 確かにヨガは精神の安定にも役立つとも言われる。とはいえ、あおり運転防止とヨガを一足飛びに結び付けるのは一茂くらいだろう。それを熱弁するのだから、やっぱり面白い。

 ちさ子は同日放送で一茂に向かってこう言った。

「普通なら、ろくでもない息子に育つのに、まともに育ったわねぇ」

 一茂の立教高校(現立教新座高校)時代、その銀行口座には残高が常に100万円あったと聞かされたからである。

 残高が減ると、その都度、母親の故・亜希子さんが100万円になるよう補填してくれた。つまり、お小遣いは青天井だったことになる。

「おふくろが勝手に振り込んでいた。3か月、4か月家に帰らず、(野球部の)寮だったから」(一茂)

 それにしたって金額がデカイ。立教大を出るまで「ローン」と「税金」の存在を知らなかったそうだが、それも不思議ではない。

 茂雄氏のDNAに加え、スーパーお坊ちゃまだった過去が、一茂を並みのタレントとは異次元の存在にしている。その口からは平凡な人間では想像もつかない言葉が飛び出す。だから、引き付けられる。

 良純もお坊ちゃま。こちらもスーパーと付けて差し障りないだろう。なにしろ父は元東京都知事で作家の石原慎太郎氏(88)。慶応幼稚舎時代は神奈川県逗子市の自宅から東京・恵比寿の学校までタクシーで通っていたというのだから。

 誘拐などを防ぐためだろうが、逗子から恵比寿まで50キロ以上。並みのお坊ちゃまではマネできない。

 一茂とは共通点がある。2人とも他人の評価を全く気にしないと公言してはばからないところだ。

 日本中の誰もが知る著名人の父を持ち、子どものころから他人の視線を浴び、あれこれ言われ続けてきたので、いちいち評価を気にしないようになったのだろう。だから『ザワ金』での2人の発言には忖度が感じられないし、なんでも開けっ放しで話している。

 ちさ子は俳優の故・高島忠夫さんの姪で父は元キャニオン・レコード取締役の高嶋弘之氏(86)。番組内でのポジションは気丈な末娘といったところで、一茂や良純を「ボケ」などと罵倒する。だが、当の2人はニヤニヤしている。ちさ子の言葉には嫌味が感じられないからだ。

 番組を長く観ているとわかるが、ちさ子は相手が嫌がることは言わない。信頼関係が出来ている人にしか毒づかない。ちさ子は6歳年上の姉・未知子さんがダウン症ということもあり、共生の大切さを知っているのだろう。

 3人の組み合わせは50代最強と言って良いはず。『ザワ金』の人気は納得なのだ。

高堀冬彦(放送コラムニスト、ジャーナリスト)
1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立