少年隊の3人。それぞれ特徴の違う顔立ちで人気が分かれた
少年隊の3人。それぞれ特徴の違う顔立ちで人気が分かれた
【写真】若き日の少年隊がイケメンすぎる……貴重ショットをお蔵出し!

 しかし、時代背景を気にせずに聴いてみると、覚えやすい歌詞と親しみのあるメロディーで、普通にヒットしていそうな歌謡ポップスなのだ。それでいて、3人が矢継ぎ早に歌う部分は相変わらずクールだし、歌の直前直後で東山が「ザッツライト!」とクールに呟(つぶや)く一方、植草が「胸の奥に刻む名前は君しかいないからね」と少年性を帯びた高音ボーカルで熱唱するという、ツンデレのようなバランス感覚も面白い。

 トドメに、タイトルの「封印LOVE」に、愛を閉じ込めたいという「封印」と、君は誰が好きなの? という意味あいの「Who in?」を掛けているのも、その後の“トンチキソング”がクローズアップされるジャニーズっぽさがあって、いいではないか。ちなみに、紙媒体では「印」がやや小さめに印刷されているのも、後輩グループSexy Zoneが「xy」のみ赤字表記であるのと同様、ジャニズムなこだわりを感じさせる。

【2】EXCUSE(1993年11月発売)

『君だけに』や『ふたり』など一途な恋愛を歌ってきた少年隊が、堂々と浮気をするという内容のダンス・チューン。「僕は君を選べない」「彼女にないものを君が持ってた」「ときめいた気持ちに嘘はない」「君は背中を向けていい」「逢えなくたって好きだから」とよくもまぁ、次から次へとExcuse(言い訳)を連発する男。筆者が担当するラジオ番組『渋谷のザ・ベストテン』(渋谷のラジオ)にも、「最高にカッコいい曲なのに、歌詞だけ読んでいるとあまりに身勝手でムカムカする」といった感想が多数寄せられたほどだ。

 作詞を手がけた及川眠子によると「今までの少年隊のイメージを変えたくて作った」そうで、確かに、その大胆なミッションは軽々とクリアできているだろう。また、サビの「逢えなくなれば」や「逢えなくたって」で聴かせる3人のハーモニーは見事だし、AKB48のヒット曲を多数手がけている井上ヨシマサのメロディーもとても覚えやすい。そのうえ名曲『ABC』や『仮面舞踏会』を手がけた船山基紀による編曲も本格的なショービズを想起させるほどゴージャスで、どこから見ても一流のポップスだ。

 テレビでは、発売前月にドラマのロケで大ケガをして踊れなかった植草が、舞台の後方で椅子に座って歌いつつ、錦織と東山がシンメトリックに華麗なダンスを披露。この“逆境を魅力に変える”パフォーマンスも話題となり、当時からジャニーズ勢の御用達だった番組『ミュージックステーション』には3回も出演。にもかかわらず、オリコン最高36位と、初めてトップ20に入らないシングルとなってしまった。

 ただ、当時のヒットシステムは、ドラマ主題歌か清涼飲料水や化粧品のCMなど大型タイアップ曲に集中していて、本作のようなノンタイアップでのヒットがほとんど出ない状況だったこともある。単純に“曲の魅力がなかったから”とは言い切れないので、その先入観を捨てて聴いてほしい。

 また、植草は『さすらい刑事旅情編』や『渡る世間は鬼ばかり』といったロングヒットドラマへのレギュラー出演、錦織はヤクザ映画や格闘系アニメ、舞台と多種多様な作品に挑戦、そして東山は大河ドラマ『琉球の風』でジャニーズ勢としては初の主演を飾るなど、ソロとしての活躍ぶりはますます盛んになっていた。

 少年隊は'86年から'93年まで『NHK紅白歌合戦』に8年連続で出場しているが、'91年から'93年には大きなヒットがない。にもかかわらず、大勢のダンサーを従えての4分を超えるパフォーマンス時間を与えられていたのは、すでに“ヒット曲を歌うアイドル”ではなく、“日本を代表するエンターテイナー”として制作サイドに認められていたからだろう。現に、この'93年にはゴールデン・アロー賞の『演劇賞』および『大賞』を受賞している。