唐辛子の開発競争と激辛ペヤング

 その絵力の強さを実現させているのが、2番目のキーワード「唐辛子の開発」。かつては激辛の代名詞だったハバネロを超える唐辛子が次々に開発され、そのたびに話題を集めてきた。

 まずハバネロを超える辛さのブート・ジョロキアが開発され、さらにトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー、コモド・ドラゴン・ペッパー、キャロライナ・リーパー、ドラゴンズ・ブレス・チリ、ペッパーXなどの唐辛子が登場。ギネス認定されているものと、されていないものの違いこそあるが、辛さの指標となるスコヴィル値をめぐる開発競争が続いている。

 また、「ハバネロの〇倍」などと数値化して盛り上がれるほか、他のスパイスと合わせてシビレ系、鼻ツン系、エスニック系などのさまざまなバリエーションが生まれるなど、唐辛子を中心とした激辛のエンタメ性が飛躍的にアップ。

 たとえば、『世界くらべてみたら』(TBS系)の「激辛カップ焼きそば『ペヤング』を韓国、タイ、インド、ブータン、コートジボワール、ジャマイカなどの辛い料理が好きな国の人に食べてもらう」という企画はエンタメ性の最たるところだろう。

 さらに、多彩なジャンルの飲食店がメニュー開発をしやすいことも、激辛番組が増えている理由の1つ。自ら開発してSNSにアップしたり、番組側に売り込んだり、逆に「番組側から激辛メニューを作ってみませんか」と提案されることもあるという。東京都港区「芝辛・激辛ストリート」のような激辛に特化した商店街の企画もあるなど、まだまだ広がりを見せていくのではないか。