《何かがはじまる予感がして、心臓が鳴った─》

 上映中の映画ランキングでは『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』をおさえ4週連続1位(2月26日現在)を達成し、興収は20億円目前と、菅田将暉と有村架純がダブル主演を務めた映画『花束みたいな恋をした』が絶好調だ。

「偶然出会った男女が、本や音楽など共通の趣味を通して恋人となり同棲を始めるという王道のラブストーリーです。'15年から'20年の5年間が描かれるのですが、当時流行っていた実在の音楽や漫画が多く出てくるのが特徴的ですね」(スポーツ紙記者)

 旬のキャストと近年のポップカルチャーを描いた映画だが、作品を支持しているのは若者だけではない。

50歳から60歳、いわゆるバブル世代の観客も多いんです。幅広い年齢層に受けたのが、これだけのヒットにつながっていますね」(映画配給会社関係者)

ロケ地巡りで調布市は盛り上がり

 コラムニストのペリー荻野さんは、バブル世代にも刺さった理由をこう評する。

映画の脚本を務めた坂元裕二さんは、言わずと知れた『東京ラブストーリー』を手がけた脚本家。旬な話題やライフスタイルを反映させながら、世代を問わず“こういう恋愛がしたい”と見せる話作りはまさに“令和のトレンディードラマ”と言えますね

 ここまで映画が知られるようになったのは、舞台となった東京都調布市の協力も大きい。

市をあげて宣伝キャンペーンを行いました。おかげさまでロケ地巡りをしてくれる人も増え、市で制作したロケ地マップも1万部刷りましたが、増刷を検討する勢いです」(調布市役所産業振興課)

撮影が行われた調布市内を紹介したロケ地MAP

 このフィーバーに驚きを隠せないのは、映画にも登場した老舗ベーカリー『木村屋』の店主夫妻だ。

“映画を見ました”といって遠くから来てくれるお客さんが増えました。でも映画でうちの店が閉店するシーンがあって、本当に閉店したのかっていろんな人に心配されたりもしましたね(笑)」(店主の妻・小泉キミ子さん)

“今も営業中”の木村屋

 主演の2人が5年間暮らした場所も、ちょっとした観光スポットになってしまった。

「昨年の1月ごろに製作スタッフからビルを映画に使わせてほしいとオファーがありました。うちは屋上のある4階建てなのですが、広いバルコニーつきの部屋にしたいということで、屋上に部屋のセットをまるごと作ったんです」(ビルのオーナーの妻・山下輝子さん)

 セットは1週間ほどかけて完成。作中では5年間暮らした部屋だったが、撮影は1日で終了した。

公開後はうちのビルの写真を撮ったりする人がいますね。ほかにも“映画で使われた部屋に住みたい”といった問い合わせもありました。映画の影響力って大きいですよ(笑)」(山下さん)

 幅広い年齢層に支持された“はな恋”。映画もロケ地も、さらににぎわうだろう。