『スマホ首』でうつ、米国では自殺が増加

 命に関わる場合もある。

 東京脳神経センターの松井孝嘉医師が警鐘を鳴らす。

ゲームなどでスマホの画面を見るときに下を向き続けることで起きる『首こり病』の一種『スマホ首』です。実は海外では問題となっています」

 アメリカではスマホ首が原因とみられるうつ病や自殺念慮が増加、'10年から'15年までに中高生の自殺率が31%上昇している。特に女子では65%も上昇したことが調査でわかった。

 スマホの小さな画面でゲームをしたり、動画を見続けると首の筋肉に過度な負担がかかり、頸性神経筋症候群(首こり病)を発症する。首を支える筋肉が緊張して硬くなり、副交感神経を圧迫する状態が慢性的に続くことで、全身に不調が現れるのだという。

「首の痛みや頭痛、めまい。食欲不振や下痢などの胃腸症状。倦怠感、微熱、不眠などの体調不良が全身に起きます。コロナ禍で増えた若者や女性の自殺、うつ状態も実は外出自粛で長時間スマホを見続けたことで起きた『スマホ首』が原因といえます」(同・松井医師、以下同)

 スマホ首が引き起こす『スマホうつ』は精神疾患のうつ病と非常に似た症状があり、強い不安感を引き起こすことがある。首こり病患者が精神的な不調を訴え、自殺する割合も極めて高いという報告も。

 ほかにも集中力が低下して、物忘れがひどくなるなど、認知症のような状態を訴える人もいるという。

 前出の松崎医師は警告する。

「電車などで暇つぶしとして使っているだけならまだしも、仕事中や、家事をしながらでも肌身離さず持っていて、常にスマホを触っているのは、危険な徴候です」

スマホゾンビ』になる目安は、1日3時間以上の長時間使用だ。

「内閣府のデータによると高校生の6割以上が3時間以上のスマホを利用しています。時間の線引きは正直難しいですが、毎日長時間使っていれば注意が必要です」

 特に20代未満で依存状態の傾向が目立つという。

 ゲームで長時間スマホを使用していることを心配した保護者が病院に相談。受診して初めて、依存状態であることに気づくことが多いという。