名優・柄本明の次男に生まれ、自身も独自の存在感を発揮している柄本時生。映画・ドラマ・舞台など、出演はすでに150作を超える。これまでの歩みは?

運のよい自分を恥じている

運がよかっただけという気がします。最初は映画だったんですけど、兄ちゃん(柄本佑)に来た仕事が年齢的に兄ちゃんができなくて……。小学生の役なのに、もう高校生。で“弟がいるらしいよ”というところからオーディションに呼ばれたんです(※1)

 それまでは俳優を目指していたわけでもなく。普通にプロ野球選手とか、神輿をつくる宮大工とか、そっちに夢を持っている人間でした。ただ親の影響で、とにかく映画はたくさん見ていましたね」

 そうして足を踏み入れた世界は楽しくも刺激的だった。

「初めて現場に出た14歳のころから、スタッフさんが映画の話になったとき、普通に大人の会話についていけちゃったんです。で、大人に“おまえ、その年で見ているの!?”って驚かれるのがすごい気持ちよくって。

 “俺って大人に認められてるんだぜ”って悦に入るというか。中二病ですよ(笑)

 大学受験に失敗し職業欄に「学生」と書けなくなったのを機に、自然と役者としての覚悟が決まっていったという。

柄本時生 撮影/伊藤和幸 

 そんな時生の最新作は『映画 バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』。日本を代表する名脇役たちが「本人役」で出演する話題作だ。オファーを受けた感想は?

「最初のテレビシリーズが始まったとき(※2)、渋谷のハチ公前に巨大な看板が出たんです。

 6人のみなさんが歯ブラシをくわえて、『バイプレイヤーズ』ってドーンとタイトルがあって。

 それを見たときに、俺“あーっ”と思って。“自分がオッサンになって、こういうドラマを撮ったときに、俺、入れるのかなぁ?”と。

 そんな作品に、ドラマと映画と両方出させていただく(※3)。本当にありがたいことだと思います

 映画版ではベテラン俳優たちの物語と並行して、濱田岳を中心とした「若手バイプレ」が、自主制作映画(※4)を撮影するべく奮闘する姿が描かれる。

「がっくん(濱田)とずーっと一緒にいる役で、楽しい時間を過ごせました。ご一緒したのは13年ぶりくらいだったんで(※5)、うれしかったです。

 現場はやっぱり圧巻でした。僕とがっくんが外で待っていると、スタジオのシャッターの下をくぐって『アウトローの森』(※6)の出演者全員が表に出てくるシーンがあったんですけど、すごい迫力。

 しかもそれが初日だったので、まだ(全員に)挨拶ができていなくて。テストの合間で、諸先輩方に“おはようございます。よろしくお願いします(※7)”を言っていく、みたいな状況でした」