「実はこのドラマ、撮影に入る前に危機的な状況になりまして」

 主演する土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』のタイトルにちなみ、最近あった“危機”を聞くと、こう話し始めた松坂桃李。

「もともとは、去年の10月に放送が始まる予定だったんです。それが、新型コロナウイルスの影響で、一度は放送自体がなくなるかもしれないということにまでなって。ただ、4月24日からの放送が決まり、撮影がはじまってからは本当に滞りもなく、さすがNHKさんだなと思いました。夜8時までに撮影も終わりますし、ドラマで扱っているようなブラックな部分はまったくありませんでしたね(笑)

 危機を乗り越え、放送へとこぎつけた今作で松坂が演じるのは、好感度だけで生きてきた元イケメンアナウンサーで、大学の広報マンに転身した神崎真。

「作品に入るまで、大学に“広報マン”という方がいることすら認識していませんでした。大学側と世間との意見の板挟みになる中で、自分としてはどう行動するか考える大変な職種。僕が演じた真は、これまで目の前にある難しい問題や大変なできごとから逃げ続けながら、好感度という鎧だけで頑張ってきた人物。それが、壁にぶち当たって、鎧が簡単にはがれたときの情けなさみたいなものはしっかり出そうと思いました」

うまく立ち回るのはなかなか難しい……

 ドラマのように、松坂自身が板挟みになることはあるのだろうか?

ありますよ。所属する事務所と制作現場との意向があるなかで、自分がこうしたいっていうことが。うまく立ち回るのは、なかなか難しいですね。僕自身は、なるべく穏やかに過ごしたいタイプではあります(笑)」

松坂桃李 撮影/廣瀬靖士

 プラスのイメージでは受け止められていない真の“事なかれ主義”も決して悪いことではないと思うが、と伝えると、

「そう言ってくださると救われます(笑)。僕も執着をもっていない状態が、ときによい方向に作用することもあると思うので。

 例えば、今の日本って仕事をするために休むという感覚の人が多いですよね。それが、プライベートを充実させるために働くという考え方にもっとなっていってもいいと思うんです。そう話しておきながら、僕自身はバリバリ働いていますけど(笑)」

 最後に、演じる真として俳優・松坂桃李をプレゼンしてもらうと、

「そうですね……。事務所の教えに従順でクリーンな俳優です(笑)」

 ちなみに、事務所の社訓は“品とポップ”。どちらも完璧に持ち合わせている松坂は“好感度”も常日ごろから意識している。

「CMをやらせていただいていることもあって(笑)。日本の芸能界は、“好感度”という言葉に支えられている部分が大きいんだなと、今回のドラマを通して改めて実感した気がします。そもそも、好感度って何なんだろうと思うことがありますけど(笑)、いわゆる親しみのようなものを感じていただけたらいいなとは思いますね。それが、好感度につながっているかどうかはわかりませんが」