政治家の不正を
放置・黙認したままでいいのか

 ギブ&テイクの成り立った関係のような感じもしますが、これでうまくいくのかというと、そうも思わないのです。自分の利に敏感な人は常に「もっと、もっと」ですから、「これで十分だ」ということはないと思います。

『週刊文春』によると、現在、倉持氏は夏目三久似の女性と親しくしているそうです。倉持氏は独身ですから誰と交際しようと自由ですが、もし、男女の関係が続いているなら、山尾議員に対するひどい裏切りとみることもできるでしょう。しかし、話はいたってシンプルで、元カノや前妻にひどいことをする人は、今の彼女にも同じことをするということではないでしょうか。加えて、山尾議員と倉持氏は「もっと欲しがる」「自分のことしか考えない」という意味で似たもの同士であり、お似合いのヤバカップルと言えると思います。

 同誌は山尾議員の「議員パス」不正利用に加えて、倉持氏の前妻が昨年自殺したことも報じています。倉持氏と離婚する際、前妻は生活と健康上の不安から長男の親権を手放さざるをえず、離婚後はうつ病もわずらっていたそうです。不倫は誰かが傷つくことは避けられませんが、最悪の結末を迎えてしまいました。が、おそらく山尾議員も倉持氏も何の痛痒も感じないタイプだと思います。

 普通、芸能人は不倫がバレると会見を開きます。イメージ商売ですし、スポンサー対策も兼ねているのだと思いますが、本当に問題にすべきは政治家不倫ではないでしょうか。

 国からお金をもらっていて、国のお金を簡単に使うことができる。仮に不正を働いたとしても発覚しなければ、その原資を納めている納税者には気づかれない。そんな立場の人が不倫をするというのは、大げさに言うと、納税者への侮辱もしくは国の私物化といえるのではないでしょうか。

 日本には姦通罪がありませんから、不倫に対する刑事罰はありません。倉持氏の前妻の自殺も、山尾議員がほう助したわけではありませんから、関係ないと言われたらそれまででしょう。しかし、法に触れないなら、何をやっても許されるのか。テレビやネットでは芸能人の不倫のニュースは長引きますが、政治家のそれは2〜3日で終わってしまいます。おそらく、今回もうやむやになってしまうのでしょう。

 政治家のヤバいことを放置して黙認する国民はヤバくないのか。そろそろ、真剣に考えたほうがいい時期だと思います。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」